白米おこめ

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11/24/2024, 10:56:25 AM

あみあみ。あみあみ。あみあみ………

“男が編み物なんて”
なんて、言われる時代は終わったんです。

喜ばしいことです。

でも、別に慣れている訳じゃないので、
手にマメができましたが、それでもいいんです。

「最初はもっと簡単なのにしたら?」と母は言いました。
全くもってその通りでした。母さん、僕は後悔しています。

あみあみ、あみあみ……

全く終わらない手縫いのセーター。
いやなんで本当に、初心者なのに
初めての作品をセーターにしてしまったんだろう。

……いや、でも、だって。
うちの犬が、寒そうだったんだもん。

「セーター」 白米おこめ

11/23/2024, 11:00:36 AM

さらさら、砂が落ちていく。

どんな人だって、毎日、毎分、毎秒。

さらさら。さらさら。

誰かの砂時計が落ちて、砂が地面に広がっている。

溢れた砂は元には戻せない。風に乗って飛んでゆくだけ。

落ちた砂は戻せない。砂時計は逆さにはならない。

ただ流れ落ちる砂の音を、誰もが同じように鳴らしている。

「落ちていく」 白米おこめ

11/22/2024, 12:30:20 PM

誰かのブーケトスの花びらがあなたの髪に触れて、
思わず摘んで取ったそのひとひらが宙へと舞っていく。

その花びらはいつしか投げたブーケのひとひらになり、
今度は君のベールの上を滑り舞うんだ。

「夫婦」 白米おこめ

11/21/2024, 2:07:29 PM

小さな子のように泣きじゃくる貴女の手を引いて
屋上の非常ドアをくぐる以外の道は俺になかった。

「どうすればいいの?」 白米おこめ

11/20/2024, 11:31:24 AM

勉強机の、小さな引き出しのうちの、左側。
幼い頃にシールを貼ったそこには、
友達から貰ったものがたくさん入っている。

修学旅行で買った、お揃いのキーホルダー。
少し角の削れたキャラクターの消しゴム。
どこかの旅行のお土産でもらったスプーン。
宛名の書かれた、ひらがなのお手紙。

小さい頃のたからもの。引き出しのタイムカプセル。
たまに覗いて、また閉める。
私の宝箱は、机の引き出しに。

「宝物」 白米おこめ




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