11/22/2024, 12:30:20 PM
誰かのブーケトスの花びらがあなたの髪に触れて、
思わず摘んで取ったそのひとひらが宙へと舞っていく。
その花びらはいつしか投げたブーケのひとひらになり、
今度は君のベールの上を滑り舞うんだ。
「夫婦」 白米おこめ
11/21/2024, 2:07:29 PM
小さな子のように泣きじゃくる貴女の手を引いて
屋上の非常ドアをくぐる以外の道は俺になかった。
「どうすればいいの?」 白米おこめ
11/20/2024, 11:31:24 AM
勉強机の、小さな引き出しのうちの、左側。
幼い頃にシールを貼ったそこには、
友達から貰ったものがたくさん入っている。
修学旅行で買った、お揃いのキーホルダー。
少し角の削れたキャラクターの消しゴム。
どこかの旅行のお土産でもらったスプーン。
宛名の書かれた、ひらがなのお手紙。
小さい頃のたからもの。引き出しのタイムカプセル。
たまに覗いて、また閉める。
私の宝箱は、机の引き出しに。
「宝物」 白米おこめ
11/19/2024, 11:52:38 AM
クリスマスキャンドルがとろけて消えるくらいに
また、おやすみの誓いを。
「キャンドル」 白米おこめ
11/18/2024, 12:40:07 PM
人が天へと登る時は、その魂が軽くなるように、
その人の想い出を一つずつ空から落とすのだ。
大事な想い出ほど、人は離しがたくて、離れがたくて。
最後まで抱えて、持っていることが多いのだ。
そうして、最後の方に手放した想い出達は、
地上へと返すには遅すぎるから
空の途中で、ぽっかりと残ってしまうのだ。
その、何処にも行けなかったたくさんの想い出達が、
夜になった時にいっとう輝く星となるのだ。
だから、星降る夜には、どうか。
誰かが生きていたその想い出を、
あなたに思い出してほしいのだ。
「たくさんの想い出」 白米おこめ