酔生

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12/1/2024, 11:12:42 AM

距離
 月は遠い。しかし、唯一近づける日がある。それは、満月の日。私は窓を開け月を誘い込む。壁に映る淡い輪郭。私はそれを手でなぞり、妙な感覚が指先を駆け抜ける。まるで月と一体化したような感覚に息が少しだけ浅くなる。
 月は何も拒まない。揺れるカーテンの隙間から、光の滴が床を塗らし、冷たい抱擁で私を包み込む。言葉もなく、ただそこにいるだけで月は私の孤独をそっと溶かしていく。

11/18/2024, 5:34:36 AM

私は頭が悪い。私の頭の中は、地図をなくした旅人のように、ずっと彷徨い続けている。酔生夢死__もし私の人生を一言で言い表すならば、これほどぴったりな言葉はない。何も成せず、死を待つだけの人生。
論理的な思考は苦手だ。難しいことを考えようとすると、忽ち霧が立ち込めるように頭の中は真っ白になり、思考の道筋が途絶えてしまう。何度も悔しくて泣いた。でも、私は馬鹿だからそれの解決策を探るどころか、ただ怒りという感情だけが先に湧いてくる。いつもいつも人と比べてしまう。それでも、どうすればいいかなんて分からない。悔しい、ただ私は他の人と同じになりたいのに。私はどうすればいいのだろうか___何度も何度も途切れ途切れになりながら考えた。それでも結局は、同じ考えに辿り着く。生きるか、死ぬか__それしかない。
あぁ、頭が良ければ、世界は違って見えたのだろうか。幸福すら、頭の良さがなければ手に入らないのだろう。……分からない。何の役にも立たないこの私は、常に罪悪感、焦燥感で苛まれ、ただ無為に時を消費するだけの存在だ。……いや、きっともっとこの私の感情を的確に表現する言葉があるのだろう、しかし私にはこれが限界なのである。ぼんやりと書きたいものが消えていく。
__さようなら。私の言葉。