善は宣言しました。
「悪はいけないことよ」
悪は聞きました。
「僕がいけないことだって?」
善は答えました。
「ええ。だって悪だもの。」
悪は聞きました。
「じゃあ悪ってどうしていけないの?」
善は高慢ちきな顔で答えました。
「周りの人やお友達を傷つけるからよ。」
悪は聞きました。
「じゃあ善は?」
善はやれやれというように眉を上げて答えました。
「もちろん、いいことよ」
悪は聞きました。
「どうして君はいいことなの?」
善は自慢げに答えました。
「みんなを傷つけないからよ。」
悪は呟きました。
「僕はそうは思えないけどなぁ。」
善は呆れたように聞きました。
「あら、どうして?」
悪は聞きました。
「君は絶対に誰も傷つけないんだろう?」
善はにやりと答えました
「当たり前よ、善だもの。」
悪は聞きました。
「じゃあ僕が傷ついたのはどうしてなの?」
善は答えられませんでした。
「まるで君は太陽のように美しく輝いて見えるよ!」
いきなり彼がそう言い出した。
「何それ、止めてよ。意味、分かっていってんの?」
「君がすごく好きだよ、という意味だろう?」
「まぁ、大体合ってるけど…でもあんたがそれ言うのはだめでしょ」
「え…。友達が誰でも喜ぶって言ってたのに…。」
「あんたが言うとね、だめね。」
「なんで?」
「だって、あんたが太陽じゃん。月に太陽がそういうこと言うなよ。」
「…確かに。」
「ちなみに教えてくれた友達って?」
「地球。」
0からのスタートってよく言うじゃん?
心機一転!今日から新しいスタートだ!ってやつ。
俺もそうだった。
前の会社で失敗それから、クビになっても、なんとか生きてきた。
そんで、マッチングアプリで良さげな人を見つけて、新しい働き口もなんとか見つけてやったさ。
だから、俺、宣言してやったんだわ。
0からのスタート!やってやる!って。
あのー、渋谷の、えーっと、そうそうスクランブル交差点の真ん中でさ。
ほんと後悔だよ。
全部無駄になっちまった。
だって思わないじゃんか。
まさか0からのスタートって宣言して、母親のお腹の中に戻されるなんて。
あの日、君が僕に手渡してくれた鍵。
そのときの君の手の暖かさが、手入れの行き届いた綺麗な手が、控えめのネイルが、忘れられない。
そのときの君のはにかんだ笑顔も、少し赤く染まった頬も、忘れない。
その鍵は僕にとって宝物だった。
いつだって、その鍵で開けた先には君がいた。だからこの鍵は大切だった。
でも今は、開けた先に君はいない。この鍵はもはや鉄の塊にすぎない。君がいないと………。
ある村に少年と少女がいました。
2人はとても仲が良く、いつも一緒でした。そんな2人を村の人たちは温かく見守っていました。
しかし、2人は夕方になると必ず家に帰ります。少女はもう少し長く少年と一緒に過ごしたいのですが、少年の答えはいつだって「ごめんね。」でした。
ある日、いつもは日が暮れ始めると家に帰るのですが、少女はなぜ少年が夜は一緒に過ごさせてくれないのか疑問に思い、家に帰るふりをして、少年の後ろにこっそり着いて行きました。
少女はてっきり少年は家に帰ると思っていましたが、少年が歩きだしたのは家とは反対方向でした。そのまま少年は森へ入っていき、森の奥深くに歩いていきました。森の中で唯一木々がほとんど無く、少し開けたところに少年は座り込みました。少年は月を見ていました。予想と全然違う結果になった少女は隠れていた木から出て、少年に近づきました。
「月を見ていたのね。私も一緒に見たいわ。」
少女は後ろをこっそり着いてきてしまった罪悪感から少年の顔を見れないまま少年の横に座り、月を見ながらそう言いました。
「…なんで居るんだ…。帰るよう言ったのに…。」
少年の反応は思っていたものと全然違うものでした。少女は慌てて、
「黙って着いてきてしまってごめんなさい。でもあなたと月、見たかっ…」
そこまで言って、少女の顔が固まりました。
少年の顔がみるみる内に狼へと変わっていく…。
「…ちゃんと言わなくてごめん…。」
月の下、狼が吠える……。