NoName

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3/15/2025, 8:28:38 AM


両親を亡くし里親のもとで暮らす
2年経つが、まだ馴染めていない。



「尾鷲でクマが出たそうです。ここからも近いですので、帰りはみなさん一人にならないように、寄り道しないでできるだけ早く帰ってください。
それでは終礼
「藤野ちゃん、」
呼び止められる
「みんなと山に行くんだけど藤野ちゃんも来ない?
「あー……ごめん。今日やることあるから」
「そっかー。じゃあまた今度ね」
「うん。」
手を振って帰っていく。手を振りかえす。
下校の道からそれ、子供がいなくなり
店に入り。米を買う
「いつもありがとうね」

一人山に入り、ラジオを聴く
水晶のような翡翠の透明の石をはめて
電波が入ってくる
父の形見だ

帰り、鉄橋で怪物に襲われる
教室の天井も突き破ってしまいそうな大きさ
こちらに気付き近づいてくる
車を丸ごと飲み込めそうな大きな口が開き
大きな歯から涎が滴っていた
それが先生の言っていた「クマ」だと分かった
食べられる
「嫌っ
走って逃げる
少年が助ける
「ねぇ!あなたあれが、あのクマみたいなの、何か知ってるの?」

父の書類を漁る
文献の資料に同じ姿のものがある

地下には世界があり、そこには死者と会える場所がある。
両親ともう一度会える


君を探して君に会いたくてここまできた

1/31/2024, 10:30:27 AM

「旅路の果てに」



半年の旅路の果てに
平地を行くことが多かった
ビルの景色は本当に10日あったかどうかで
本当に久々に見た気がするのに
山とビルに囲まれた景色でさえ小さく感じた

果たさねばならないことがある

10/18/2023, 5:15:24 PM

『秋晴れ』

浴衣の貸し出し
清水寺の紅葉
抹茶を頬張る
紅葉が秋晴れの澄み渡った青に浮んで
絵画では出せない空気の光
「凛世からお金もらったんだから食べようよ!
いい天気
一枚上着を脱ぐ

10/17/2023, 1:03:45 AM


日記を書く
「律儀っすなぁ
「うん。何でもいいから書いてある方がやっぱり思い出しやすいから
「ふーん
最近椿生フラッシュバックしなくなったね
ひと段落した、と思う


施設では月の末にその月の誕生日の子達を纏めた祝う
そうでないと時間的にも経済的にもとても祝いきれないからだ
「私ケーキ自体一昨年初めて食べたよ
思い出す、ハッピーバースデー
蝋燭の優しい光
家族がバラバラになる前の思い出

この蝋燭の柔らかい光のことは覚えている
細やかながらもこんなふうに祝ってた時期だってちゃんとあったのだ

10/15/2023, 1:43:05 PM

奴が鋭い眼差しでこちらを見ている
爪を立て
ニャッと飛んだ
肉球が両目をかする
顔からフェロモンか何か出ていたのだろうか

鋭く真剣な眼差し
何かを見つめている
貫かんばかりの集中

気配が
アカネ自身が弾丸の中に収まっていくかのように
二呼吸目に発砲音
見渡す限り緑一色の山の中
木の葉と木の葉の間から覗く虫の機微でさえも見えているのではないかと疑うほどの精度だった
コンマ1度のズレがどれほどのものになると思っているのか
スコープもなしに
「ずっとやってたの?


教えてもらった通りにやるんだ
鋭い眼差し
気取られた
発砲
後ろ足に当たる
そう遠くには行けないはず


陽の鋭い眼差しが地面に照り返し炙ってくる

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