『ありがとう』
あいしてる、って、
りゆうもなく言える関係でいたい。
がーべら みたいな、綺麗な君を、
とても愛している、って。いつまでも、
うそ 偽り無く、ずっと、愛し続けていたい。
『そっと伝えたい』
毎日、毎日
ただ淡々と空を見つめて
変わらない日々を退屈として
焦ることも、
嘆くこともなく
この場の藻屑であり続ける。
輝く彼女には届かない。
もう、何も届かなくても
そっと伝えたい。
親愛なる────へ。
まだ届く。
実力も、言葉も、
その手紙も。
『隠された手紙』
「私がこの世から消え去ったとき、
何か残るのか
、、否。
地位もなければ功績もない。
故に何も残らない。
私が遺すものは無に等しく
私が生きた証は遺らない。
君に託す すべてのものは
この世の未来への手紙。
これが最後。
強く生きなさい。
私の分まで。 」
名前のない、手紙。
遺品整理のときに見つけた。
親父の
隠された手紙。
俺が10年前 手に掛けた、
親父の存在。
ちゃんと残っているじゃないか。
『バイバイ』
最後に会ったのは、
如月に入る前だったか
私の知らないところで
私が知らないときに、
私を置いて、
何処かへ行ってしまうの。
最後に会ったのは、
睦月、雪が轟々と吹き荒ぶ中で
鼻の下までマフラーを巻いて
バイバイと手を振った。
もう希望がない、
あの試験の帰りに。
『イブの夜』
ちらちらと降る雪。
鳴り響くクリスマスソング。
きらびやかなイルミネーションの電飾。
すきだよ、
なんてあちらこちらから聞こえて、
手を繋ぐ男女の影。
もう、
この世界は、私には眩しすぎる。
きっと、こんな色付いた世界が。
きっと、この世界に、
私は釣り合わない。
イブの夜。
街明かりとは逆の、
私の心は
耐えきれない。
もう、この世界なんていらない。
もう、こんな世界なんて
私にはもったいないから。