『正直』
誰にでも見せる嘘の私。
誰も知らないホントの私。
この世界が嘘で出来ているから
私も嘘で成り立っている。
誰かに何かを言われても、
思ったこととは違うことで言い返す。
正直、
私の本心は別にあるけれど
それをさらけ出すのは、
こんな文章だけ。
1歩現実に戻れば、私じゃない、私。
正直。
もしそれで世界が出来ていたなら
私はどうなっていたんだろう。
と、正直、思う。
『梅雨』
とある、水無月の日。
窓の外から、蛙の声と、雨の音がぽつぽつと聞こえる。
何故いつも梅雨の季節になると、雨が降るのだろう。
そう考えたみた。
じめじめと、しとしと と、降る雨。
誰もが嫌う季節。
でもそれは、きっと春と夏を引き立たせるための役。
春と夏はカラッと
梅雨の季節はじめじめと。
そう引き立たせるための役。
だから、しとしと と、
悲しまざるをえないのかも、しれない。
『無垢』
彼女は、特別な存在。
こちらを向いたときの、丸い瞳。
浅く、広い人脈。
誰とでも和解できる彼女は、
その性格で周りを惹き付ける。
良く言えば無垢な彼女は、
悪く言えばバカで、
でもそれが彼女の魅力のひとつで、
彼女のアイデンティティ。
無垢な彼女は、
周りの誰よりも、
輝いていた。
『半袖』
じりじりと太陽が照らす中、
少しの風が、さらりと吹く。
そんな、とある真夏の日。
彼女は顔に手を当てて光を遮り、
はっきりと、僕に微笑んだ。
リボンがついた麦わら帽子に、
花がついたかわいいサンダル、
そしてシルクであしらわれた、白い半袖の、綺麗なワンピース。
暑い中でも涼しく輝く彼女に、
僕は目が離せなくなる。
風になびく彼女のワンピースは、
ふわりと、柔らかい動きで彼女を引き立たせる。
その半袖のワンピース、
よく似合っているよ
『月に願いを』
願い事。
誰に言っても、
何を言っても、
届かない、この願い。
真っ暗な空にぽつんと浮かび、
ぼんやりと光る、この月夜。
あの少しの光が、
私に一人の時間を与えてくれる。
あの少しの光が、
私の心を浮かせてくれる。
願い事。
星に願いを。
流れ星よりもっと明るく
月に願いを。
太陽よりもっと美しく
この月夜に、
願わくば。