『無垢』
彼女は、特別な存在。
こちらを向いたときの、丸い瞳。
浅く、広い人脈。
誰とでも和解できる彼女は、
その性格で周りを惹き付ける。
良く言えば無垢な彼女は、
悪く言えばバカで、
でもそれが彼女の魅力のひとつで、
彼女のアイデンティティ。
無垢な彼女は、
周りの誰よりも、
輝いていた。
『半袖』
じりじりと太陽が照らす中、
少しの風が、さらりと吹く。
そんな、とある真夏の日。
彼女は顔に手を当てて光を遮り、
はっきりと、僕に微笑んだ。
リボンがついた麦わら帽子に、
花がついたかわいいサンダル、
そしてシルクであしらわれた、白い半袖の、綺麗なワンピース。
暑い中でも涼しく輝く彼女に、
僕は目が離せなくなる。
風になびく彼女のワンピースは、
ふわりと、柔らかい動きで彼女を引き立たせる。
その半袖のワンピース、
よく似合っているよ
『月に願いを』
願い事。
誰に言っても、
何を言っても、
届かない、この願い。
真っ暗な空にぽつんと浮かび、
ぼんやりと光る、この月夜。
あの少しの光が、
私に一人の時間を与えてくれる。
あの少しの光が、
私の心を浮かせてくれる。
願い事。
星に願いを。
流れ星よりもっと明るく
月に願いを。
太陽よりもっと美しく
この月夜に、
願わくば。
『降り止まない雨』
梅雨。
もうそんな季節か。
窓の外では、しとしと と雨が降っている。
それは紫色や蒼色に染まった紫陽花に落ち、
ぽたぽた、と滴っていく。
それは、なんだか悲しい音。
そしてまた、数滴、水が滴る。
それは、なんだかしょっぱくて、
なんだか悲しい雨音。
それは、私の頬を伝って、滴る。
でもそれは、
ごくたまに、
笑みから溢れる雨だった。
『あの頃の私へ』
拝啓、
あの頃の私へ。
苦しかったね。
辛かったね。
でも偉かった。
自分のために、将来のために、
今のために頑張ってた。
自分なりに、必死で苦手なことを頑張ってた。
でもね、だからこそ、
今、すっごく楽しいよ。
あのとき頑張ったからこそ、今の私がある。
だから大丈夫、
自身を持って、
未来を信じて、
突き進んでみて。
たとえそれがどんな未来であろうと、
なんとかなるでしょう?