『子供のままで』
ずっと、守られていたい。
ずっと、愛されていたい。
ずっと、このままでいたい。
毎日、幸せでいたい。
毎日、楽しくいたい。
毎日、笑っていたい。
そんな願望が、際限なく溢れだす。
子供じゃなくなってから、はや数十年。
静かな部屋で ひとり目を閉じ、考える。
子供のころは、早く大人になりたかった。
でもいまは、子供のころに戻りたい。
そして、ずっと、子供のままでいたい。
───だから、そう思ってしまうから、
私の心はいつまでも、子供のままなんだ。
『愛を叫ぶ。』
1年前、私は彼に告白された。
特に恋愛感情はなかったけど、付き合ってみることにした。
でも、だんだん付き合っていくうちに、彼の良さや普段見れない一面が見れて、嬉しかった。
私しか知らない、彼の細かい部分。
それを知っているということで優越感があった。
付き合ってから少し経つと、彼がモテていたことを知った。
もう少し経つと、彼の恋愛経験がないことを知った。
だいぶ経つと、彼の優しい内面が見えてきた。
その後しばらくして気づいた。私は彼に恋愛感情を持つようになった。
ちゃんと、両想いで付き合えるようになった。
それなのに、こんなことを告げられた。
──ごめん。急なんだけど、来週から親の事情で海外に引っ越すことになって…、なかなか会えなくなると思う。ほんと、ごめん。
なんで今なんだろう。せっかく、ちゃんと好きになれたのに。
生憎、運が悪かった。
彼の出発当日、他に誰もいない地元の駅で彼を見送ることになった。
寂しさと悔しさで涙が出そうになるのを必死に堪える。
そして、列車は発車する。
私は、お別れの言葉より先に
愛してる 誰よりも、愛してる ───
そう叫んだ。全力で。
少しずつ速くなる電車をできる限り追いかけながら愛してると叫ぶ。
耐えきれず、私の視界はぼやけていたため、彼の顔はよく見えなかった。
けど、きっと笑っていた。
─────────────
今でも、時々彼のことを思い出す。
不慮の事故で帰らぬ人となってしまった、
彼のことを。
今でも、時々彼の名とともに こう心の中で叫ぶ。
愛してる、と
全力で。
『モンシロチョウ』
白くて、ふわふわした蝶々。
優雅に舞って、どこか遠くへ行ってしまう。
太陽に反射した羽は、より白く、より美しい。
ところどころにある小さな斑点も美しい。
丸っこい羽はかわいらしく、
モンシロチョウは一つの芸術作品。、
とある夏の日、僕が目を開けると
白くて、ふわふわしたワンピースを着た少女が立っていた。
『一年後』
一年後、僕はどうなっているんだろう。
一年後、もしかしたら
いい仕事に就いているかもしれない。
彼女がいるかもしれない。
もしくはもうこの世にいないかもしれない。
未来の、一年後の僕へ。
どんな未来であっても、僕が1番幸せで
どんな一年後でも、僕はきっとやっていける。
願わくば、
僕に希望を。
願わくば、
この世界に光を。
願わくば、
この世のすべてに絶望を。
願わくば、
私の未来に幸福を。
『初恋の日』
初恋の日、いつだったっけ。
私が君に初めて恋をしたのは、いつだったっけ。
私が君に惚れたのは、いつだっただろう。
もう、遠い、遠い、昔の記憶。
あの日、私のすべてを、君に捧げた。
それからはトントン拍子で事が進んだ。
君と出逢ってから、もう何年経つだろう。
君に恋をしてから、もう何年経つだろう。
───────────
君が亡くなってから、もう何年経つだろう。
私は再び、君と一緒にいた頃を思い出す。
空は青く、風が気持良い。
そして私が伝えたいことは、ただ一つ。
いや、もう二つ。
愛している。愛していた。
そして、幸せだった。
『君と出逢ってから』