(アンデッドアンラック 二次創作)
生きる意味とはなんなのか。
死ねない男は考える。
死ぬ意味ならばいくらでも。倦怠、鬱屈、絶望、それに贖罪。
永すぎる生、答えを必死に探したが地にも空にも落ちていない。
だからもう殺してくれと叫んでも願いは虚空に散ってしまった。
自棄になり嗜虐性を共にして、倦んだ日々をただ歩く。
生きるとはそういうことで、意味などないと思っていたのだ。
あの日気まぐれに彼女に出会うまでは。
生きる意味
(アンデッドアンラック 二次創作)
流れ星に願いをかけると、願いが叶う。
銀河の理と同時に泡のように生まれたジンクスは、このやり直しの世界においても懲りずにまた人々の心の拠り所となったようだ。
出雲風子もかつて一度、願ったことがある。
『お願い、当たって!』
願い、というどことなく儚いものよりはむしろ、鬼気迫る念だったし、送った対象は自分が降らせた隕石だったが。
「そんなことも、あったなあ……」
呟きは自室の空気へ溶けて消える。いずれにしろ遠い遠い昔の話だった。
腰かけていたベッドへ、そのまま仰向けに倒れ込む。ため息。どうも今日は感傷的になってしまっていけない。そういう感情は悲願を達成するまでは引っ込めておこうと決めていたのに。
それもこれも、風子の掌にある、硬質のモノのせいだ。
カードというには分厚い、一見なんの変哲もない破片のような何か。リメンバー。
今日なんとか無事手に入れたそれを目の前にかざすと、照明を反射して端が光る。
このカードを額にしていた人物を、自分を相棒と呼んだあのひとを、否が応でも思い出す。いや、その言い方は正確ではない──忘れたことは片時もないのだから。けれど普段、なるべく考えないようにしているのも事実だ。
けれど。けれど今日は、無理だ。
二百年近く前の出来事がまるで昨日のことのように脳内で再生されて吹き荒れる。流されてしまいそうな自分を叱咤して。
思い出を封じ込めるように、両の手で古代遺物を包み込んで目を閉じた。
……目尻が少し濡れることくらいは、気づいてない振りをしよう。
口の中で小さく名を呼ぶ。
流れ星は単なるデブリが燃え尽きる現象であると知っている。
それでも今日もし夜空に光が流れたら。
きっと。
流れ星に願いを
手の甲に、ぱたり。
大きく雫が落ち跳ねる。
雨かと思った。
だが振り仰いだ空には嘲笑う太陽。
その光がクリスタルのように細かく砕かれていることを認識して──
初めて自分が涙を流していると自覚した。
雫
何もいらない
これまでのループでの悔しさも、
忌まわしい否定能力の消失も、
神を殺すという大願でさえ。
掲げ祀ってきた理想を願いを玉ねぎのように少しずつ剥がしていけば、
芯のところに残るのはただひとつの願いでしかない。
ああ、君が死ねさえすれば。
他には別に、何もいらない。
(アンデッドアンラック 二次創作)