5. またね!
「またね!」
「バイバーイ!」
陽が落ちかけ、空が燃えるような色に包まれた頃、元気の良い子供達がお互いに手を振り合いながら叫ぶ。
『また明日!』
「うん!また明日!」
記憶の中の友の声が蘇る。
……貴方との再会は、一体何年先になるんだろうね。
4. 春風とともに
柔らかい春風と共にひとひらの桜の花弁がやってくる。風情だなぁ、と花弁を軽くつまんだ。
かつての友は、元気だろうか。
今頃何をしているのだろう。
縁があるのなら、いつの日かまた--。
3 小さな幸せ
ある日のことだ。たまたま私が公園のベンチで休息をとっていた時のこと。
「見てみてママー!わたし、四つ葉のクローバー見つけたよー!」
背の低い草が生えた敷地内の一角で、ある子供がお母さんらしき女性に元気に駆け寄った。子供が無邪気に喜んでいるのを見た女性はふわりと微笑み、子供の目線に合わせるようにしゃがみ込んで言う。
「あらあら〜!ふふ……きっと近いうち、いいことあるわよ!記念に持って帰りましょうか!」
「ええっ!ホント!?やった〜!」
……ああ、微笑ましいな。
胸の奥から、小さくじんわりと暖かな気持ちが湧き上がる。親子から、"小さな幸せ"を分け与えてもらったような、そんな感じ。
私も、あの親子のように幸せになれるかな。
2 春爛漫
咲き乱れた花の行く先を、人は知っている。花びら達も知っている。
ではどうして?
どうして一時の生に満ち溢れた瞬間だけを求めて、花は開く?
花は散る。花びら一つ一つが生きていける時間も短い。花が散った先に待つのは等しく死のみ。
それでも花は咲き誇る。わたしと違って、死を恐れずに。舞台のスポットライトを浴びる主人公のように、堂々と。
花々は恐れない。吹き荒れる風にも、降りしきる雨にも、ただじっと耐えしのぶ。
人は花じゃない、花も人じゃない。だから、花が考えることも人は分からない。人が考えることも花は分からない。でも、それでも。
「うつくしい」と感じたその姿を、「うつくしい」と言葉にするのは、存外悪くないのかもしれない。
1 七色
赤は血の色、不幸の色。血を流す前は、必ず不幸なことが起きている。
橙は恵みの色、太陽の色。太陽の下で暮らす私達に、ありとあらゆる恩恵を残す。
黄は花の色、喜びの色。大きな背丈のひまわり、黄色い歓声、無邪気な子供の笑顔。
緑は地の色、父の色。全てを支える緑の地は、子供を見守る父のよう。
青は原色、原点の色。空は常に、私達について回る。
藍は夜の色、偽りの色。淡い色みたいに半端な者には、必ず嘘が隠れている。
紫は絶望、悲痛に溢れる色。赤と青が、不規則に絡み合って生まれる悲鳴。
これら全てを一つの虹とし、誰もが心に抱えて生きている。