2 春爛漫
咲き乱れた花の行く先を、人は知っている。花びら達も知っている。
ではどうして?
どうして一時の生に満ち溢れた瞬間だけを求めて、花は開く?
花は散る。花びら一つ一つが生きていける時間も短い。花が散った先に待つのは等しく死のみ。
それでも花は咲き誇る。わたしと違って、死を恐れずに。舞台のスポットライトを浴びる主人公のように、堂々と。
花々は恐れない。吹き荒れる風にも、降りしきる雨にも、ただじっと耐えしのぶ。
人は花じゃない、花も人じゃない。だから、花が考えることも人は分からない。人が考えることも花は分からない。でも、それでも。
「うつくしい」と感じたその姿を、「うつくしい」と言葉にするのは、存外悪くないのかもしれない。
3/27/2025, 2:52:45 PM