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7/25/2022, 9:39:58 AM

友情

あの子と友達になりたかった。だって彼女はおしゃれだし、喋り方がはっきりしててカッコいい。映画の趣味も合う。あんまり女の子っぽくないとこも良かった。僕もあんまり男らしくないから。
彼女を映画に誘ったら、ちょっと顔をしかめて「今私口説かれてんの?」っていわれた。そんなこと言えちゃうとこも最高。と思いながら、僕は首をふった。
「違うよ。映画友達が欲しくて」
彼女は納得顔で頷いて「トム・クルーズのやつなら見に行きたい」って言った。
それ、僕はもうこの間見たんだけど。でも彼女と仲良くなりたかったから「いいね、行こう」って言った。言いながら考えた。
こんなにがんばって、ちょっと無理してでもいい顔したいってのは、ある意味口説いてるって事になるんじゃないのかな。だって僕は実際彼女が好きで、彼女に好かれたくて、今わりと必死だ。下心がある。そこに恋って感情が含まれるかどうかなんて、そんなの些細な違いだ。なのに、恋してるって言った途端に純粋じゃなくなるような、ちょっと汚いもののような気がするのは何でだろう。

7/24/2022, 8:21:38 AM

花咲いて

何の心配もなかったあの日。春の明るい日差しの中に咲く花をつんで、蜜を吸っては捨てた。いくつもいくつも。ほとんど全ての花を摘み取ってしまっても、ひどいことをしているとは少しも思わなかった。私は純粋で傲慢だった。当たり前に愉快で自由な、あっけらかんとした日々が、いつまでも続くものだと思っていた。

7/22/2022, 10:06:24 AM

もしもタイムマシンがあったなら

やり直せば全部うまくいくのだろうか。いまの悲しさも辛さも不満も全部解消されるのか。何度も何度もやり直して、結局ぐちゃぐちゃにするんじゃないか。私は何でも台無しにする。私に必要なのは、きっとやり直す手段じゃない。このままを受け入れる心構えだ。

7/21/2022, 4:49:36 AM

私の名前

私の名前をつけるのは私以外のものだ。
私以外のものがなければ、私に名前はいらない。区別の必要がない。私の本名も、あだ名も、性別や年齢のレッテルも、全て私の外でのみ必要で、私の中にはいらないものだ。

7/19/2022, 5:50:05 PM

視線の先には

あなたが元気でいてくれるなら、それ以上は望みません。いや嘘、元気で毎日めちゃ楽しくてスーパーハッピーでいてくれればそれでいいです。
俺のことは忘れてくれて構いません。たまーに、昔の書類整理する時とかに、そういえばこんな奴もいたなって思い出すくらいでいい。いつもうるさく付き纏って、やたらとこっちを見てた奴がいたな〜くらいで。そんなこと、ほとんど思い出す暇もないほど幸せになって。それが俺の望みです。

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