君は、照りつける太陽の眩さに負けないほど輝いていた。
「早く早く」
花畑を走り回ったあの頃
私達は恋だの愛だのに興味がなかった。
私達は大人になってしまった。
色々知りすぎてしまったのだ。
あの眩かった君は、もうどこにも居ない。
「空が泣いてる」と君が呟いた。
初めてのデートは、生憎の天気だった。
サァ、と降り出した雨はだんだん強くなり、君の服をシットリ濡らした。
「ほら、虹」
案外雨はすぐに止んだ。
艶々と輝きを増す木々、空に浮かぶ薄い雲、濡れたアスファルトに写る君の影。
その全てが君を形作る光のように見えた。
君からのLINEは、いつも「うん」だとか「わかった」だとか、そういう軽い返事で終わる。
私が熱で学校を早退した日も、心配するメッセージと共に残ったいつもと変わらない返事に、思わず苦笑いしてしまった。
その適当な感じが、何だか心地良いのだ。
ただ、一度だけ、変な返事が返って来た事があった。
『縺ォ縺偵m』
文字化けしてしまったのか、全く読めない。
次の日から君の様子がおかしくなって、時折学校を休むようになった。
凄く心配だった。
『最近学校全然来てないけど、何かあった?』
『いつでも話聞くからね。話したくなったら連絡して』
『ありがとう』
『莉翫°繧芽。後¥』
貴方を守ると決めた日、私は長かった髪を捨てた。
全てが終わるまで、私は女を捨てなければならない。
男であるかのようにふるまわなければならないのだ。
この国の悪を一掃するまで、貴方は何も知らないまま幸せに暮らすだけで良い。
苦しむのは私だけで良いのだ。
「ずっと貴方のお傍に」
命が燃え尽きるまで
布団の中で、ジッとスマホを見ている。
ほんの一瞬だけ貴方の事を想う。
晩ご飯、ちゃんと食べたかな。
寒くないかな。
毎日眠れてるかな。
叶わぬ恋だとわかっていても、考えてしまう。
夜明け前の、数時間。