〔寂しさ〕
寂しい。やっぱり、独りは寂しいよ。
まわりにはたくさんの人がいて、たくさんの人と話すけれど、別に友達じゃない。知り合い未満。
僕にとって『寂しさ』ってのはそういうものだ。
寂しい。でも、僕は信じてる。僕は君の事を信じてるから、寂しくても大丈夫なんだ。
きっと、君は明日も現れない。でも、それでも、きっと帰ってくるって信じてるよ。
…だから、早く帰ってきて。僕の大事な人。
〔イルミネーション〕
今日は記念日。僕が初めて家をこっそり出た、記念日。
記念日って自分が言ったのに、思わず『記念日じゃないだろ』と思って、1人でくすっと笑ってしまった。
でも、そう、きっと記念日だ。
僕は今まで家をこっそり出た事なんて無かった。夜10時半には必ず寝て、朝6時に起きる。これをずっと守ってきた。
でも、今日、初めて。初めて夜に家を出た。今日は12月24日。今は夜中の12時前。25日に変わる頃。少し眠たいけど、目の前の光景がとても綺麗で、美しくて。眠る事が惜しくなってしまった。
イルミネーション。いつもは学校の帰りに少し見るか見ないかくらいだから、イルミネーションの明るい光がこんなに綺麗なものだとは思っていなかった。
「綺麗だなぁ…」
思わず口から出てしまって、自分でもびっくりした。
周りは夫婦や恋人達ばかりで、自分だけがぽつりと立っているような気持ちだったけど、僕の心はイルミネーションでいっぱいいっぱいで、途中で気にするのも面倒になった。
こんなに綺麗な景色が見れて、気分もとっても良いから、せっかくなら街を歩いてみようかな。
いつもはこんな事思いもしないけど、今だけは少し我が儘にいこう。こんな街見た事無いから、目に焼き付けたい。
12月25日。日付が変わった。僕はまだ歩いていた。
まだ歩いていたい。外にいたい。このイルミネーションに照らされて、僕の童心があぶり出されたみたいだ。
楽しい。とっても楽しい。
僕は気が済むまで街を歩いてまわった。
僕はこの風景を、眩しさを、きっと忘れる事は無いだろう。
〔愛を注いで〕
思ったので言いますね。
この「愛を注いで」っていうテーマ、2つの意味に捉えられると思うんです。
1つ目は、自分が愛を注ぐ側で、「愛を注いで…」って続いていくって意味。
2つ目は、自分には愛が注がれていなくて、「愛を注いで」って願ってる又は言っているって意味。
僕が思いついたのはこの2つなので、短編で2つ書きますね。
でもごめんなさい。1つ目がなんか歪んだ愛になりました…
いつも作っていますが、今回も曖昧な所をいくつか作ったので想像を膨らませてください(*^^*)
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1つ目
私はこの子の母親。
まだ外の世界を知らないこの子の母。
大丈夫、大丈夫よ。あなたには私が付いてる。
外に来たら、たくさん、たくさん愛を注ぐの。
出てくるまでも、代わりに私がたくさんの愛をもらったから、あなたにも分けてあげるわ。
色んな人の、たくさんの愛情。あぁ、幸せね。
早く外においで、私の可愛い子。
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2つ目
「愛して」。それは、私が覚えている中で、母の言った最後の言葉だ。
私はその言葉を聞いて以来、母に会った事は無い。
でもいいんだ。
みんなは隠そうとしていたみたいだけど、私知ってる。離婚したんでしょ?
「おとうさん」は、厳しくて怖い人だったから、「おかあさん」が耐えられなくなったんでしょ?
でも大丈夫だよ、「おかあさん」。私ももうすぐ大人。1人でも生きていける。
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数ヶ月後…
「愛を頂戴。」
あぁ、またやっちゃった。こんなのは、愛じゃないのに。
今までたくさんやってきた。
「愛を頂戴」、「愛をください」、「愛を注いで」、………「愛して」。
好きな人もだめだった。私に愛は注いでくれなかった。
…いつか、私に本当の愛を注いでくれる人が現れるかな。
…そんな淡い期待を、私は胸の深い所にしまった。
〔ありがとう、ごめんね〕
今日は僕の人生において重大で、僕は今日の事を一生覚えているだろう。
なぜなら今日は…親友が死んだ日だからだ。
僕は昨日、親友と喧嘩してしまった。そして…今日、親友が死んだ。
僕はまだ、親友に言いたい事も、伝えたい事も言えてないのに。
ただ一言「ごめん」って言えばよかったんじゃないか?
なんで言わなかったのか、今は過去の自分を悔やむ事しかできない。
その時僕は、あることを思いついてしまった。
言いたい事、伝えたい事を親友に直接言う方法。
……僕が、___をする事…。
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あの重大な日から、今日で丸2ヶ月経つ。
僕まだ、あの方法を実行に移せていない。
でも、……いや、今僕は決めた。決行は1か月後。親友が死んでから丸3ヶ月の日。
今思えば、丸1年の時にすれば、確実だったかもしれないと思うが、その時はそんな余裕はなかったのだろう。
そんな事考えてもいなかった。
そして当日。
今日はあの方法を……自○を実行する日だ。
大丈夫、きっと上手くいく。僕は決めたんだ。今更迷ったりしない。
ありがとう、親友。そして、ごめんな、親友。
「僕は……僕は、決めた!___ 」
プツッという何かが途切れたかのような小さな音が聞こえた。
僕の心の暗闇には、その小さな音が響き渡った。
〔逆さま〕
ああ、落ちてゆく。
真っ逆さまに、落ちてゆく。
あーあ、きっと終わりだな。
…そう思う夢を見た。よく見る夢だ。
夢は見る人の心を表すとかなんとかとよく言うけれど、本当にそうなのかもしれないと最近思っている。
だって、僕の心は今、現在進行形で落ちているから。こんな事を言っている間にも、少しずつ、ほんの少しずつ、だけど確実に落ちている。
現実が楽しくないと言えば嘘になる。でも、僕の心はそれだけじゃ満たされないみたいで、落ちるばかり。
食欲はそんなにだけど、夜は普通に眠れるし、学校にもちゃんと行けてるし、そこそこ楽しい。
でも、どこか欠けてる気がする。何かが足りないように思う。
それは、僕の過去に関係しているかもしれないし、してないかもしれない。
この前、………いや、何でもないや。
でも、心当たりはあるんだ。
きっとずっと誰にも話す事は無いだろうから、僕はこれからも逆さまに落ちて続けていくんだろうな。
…誰にも知られず、ずっと。