未来莉つき

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12/14/2024, 4:59:23 PM

〔イルミネーション〕

今日は記念日。僕が初めて家をこっそり出た、記念日。
記念日って自分が言ったのに、思わず『記念日じゃないだろ』と思って、1人でくすっと笑ってしまった。
でも、そう、きっと記念日だ。
僕は今まで家をこっそり出た事なんて無かった。夜10時半には必ず寝て、朝6時に起きる。これをずっと守ってきた。
でも、今日、初めて。初めて夜に家を出た。今日は12月24日。今は夜中の12時前。25日に変わる頃。少し眠たいけど、目の前の光景がとても綺麗で、美しくて。眠る事が惜しくなってしまった。
イルミネーション。いつもは学校の帰りに少し見るか見ないかくらいだから、イルミネーションの明るい光がこんなに綺麗なものだとは思っていなかった。
「綺麗だなぁ…」
思わず口から出てしまって、自分でもびっくりした。
周りは夫婦や恋人達ばかりで、自分だけがぽつりと立っているような気持ちだったけど、僕の心はイルミネーションでいっぱいいっぱいで、途中で気にするのも面倒になった。

こんなに綺麗な景色が見れて、気分もとっても良いから、せっかくなら街を歩いてみようかな。
いつもはこんな事思いもしないけど、今だけは少し我が儘にいこう。こんな街見た事無いから、目に焼き付けたい。

12月25日。日付が変わった。僕はまだ歩いていた。
まだ歩いていたい。外にいたい。このイルミネーションに照らされて、僕の童心があぶり出されたみたいだ。
楽しい。とっても楽しい。

僕は気が済むまで街を歩いてまわった。
僕はこの風景を、眩しさを、きっと忘れる事は無いだろう。

12/13/2024, 6:45:06 PM

〔愛を注いで〕
思ったので言いますね。
この「愛を注いで」っていうテーマ、2つの意味に捉えられると思うんです。
1つ目は、自分が愛を注ぐ側で、「愛を注いで…」って続いていくって意味。
2つ目は、自分には愛が注がれていなくて、「愛を注いで」って願ってる又は言っているって意味。
僕が思いついたのはこの2つなので、短編で2つ書きますね。
でもごめんなさい。1つ目がなんか歪んだ愛になりました…
いつも作っていますが、今回も曖昧な所をいくつか作ったので想像を膨らませてください(*^^*)

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1つ目

私はこの子の母親。
まだ外の世界を知らないこの子の母。
大丈夫、大丈夫よ。あなたには私が付いてる。
外に来たら、たくさん、たくさん愛を注ぐの。
出てくるまでも、代わりに私がたくさんの愛をもらったから、あなたにも分けてあげるわ。
色んな人の、たくさんの愛情。あぁ、幸せね。
早く外においで、私の可愛い子。

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2つ目

「愛して」。それは、私が覚えている中で、母の言った最後の言葉だ。
私はその言葉を聞いて以来、母に会った事は無い。
でもいいんだ。
みんなは隠そうとしていたみたいだけど、私知ってる。離婚したんでしょ?
「おとうさん」は、厳しくて怖い人だったから、「おかあさん」が耐えられなくなったんでしょ?
でも大丈夫だよ、「おかあさん」。私ももうすぐ大人。1人でも生きていける。

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数ヶ月後…

「愛を頂戴。」

あぁ、またやっちゃった。こんなのは、愛じゃないのに。
今までたくさんやってきた。
「愛を頂戴」、「愛をください」、「愛を注いで」、………「愛して」。

好きな人もだめだった。私に愛は注いでくれなかった。

…いつか、私に本当の愛を注いでくれる人が現れるかな。
…そんな淡い期待を、私は胸の深い所にしまった。

12/9/2024, 2:36:46 PM

〔ありがとう、ごめんね〕

今日は僕の人生において重大で、僕は今日の事を一生覚えているだろう。
なぜなら今日は…親友が死んだ日だからだ。
僕は昨日、親友と喧嘩してしまった。そして…今日、親友が死んだ。
僕はまだ、親友に言いたい事も、伝えたい事も言えてないのに。
ただ一言「ごめん」って言えばよかったんじゃないか?
なんで言わなかったのか、今は過去の自分を悔やむ事しかできない。

その時僕は、あることを思いついてしまった。
言いたい事、伝えたい事を親友に直接言う方法。

……僕が、___をする事…。

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あの重大な日から、今日で丸2ヶ月経つ。
僕まだ、あの方法を実行に移せていない。
でも、……いや、今僕は決めた。決行は1か月後。親友が死んでから丸3ヶ月の日。

今思えば、丸1年の時にすれば、確実だったかもしれないと思うが、その時はそんな余裕はなかったのだろう。
そんな事考えてもいなかった。

そして当日。
今日はあの方法を……自○を実行する日だ。
大丈夫、きっと上手くいく。僕は決めたんだ。今更迷ったりしない。


ありがとう、親友。そして、ごめんな、親友。
「僕は……僕は、決めた!___ 」
プツッという何かが途切れたかのような小さな音が聞こえた。
僕の心の暗闇には、その小さな音が響き渡った。

12/7/2024, 1:42:23 PM

〔逆さま〕

ああ、落ちてゆく。
真っ逆さまに、落ちてゆく。
あーあ、きっと終わりだな。

…そう思う夢を見た。よく見る夢だ。
夢は見る人の心を表すとかなんとかとよく言うけれど、本当にそうなのかもしれないと最近思っている。
だって、僕の心は今、現在進行形で落ちているから。こんな事を言っている間にも、少しずつ、ほんの少しずつ、だけど確実に落ちている。

現実が楽しくないと言えば嘘になる。でも、僕の心はそれだけじゃ満たされないみたいで、落ちるばかり。
食欲はそんなにだけど、夜は普通に眠れるし、学校にもちゃんと行けてるし、そこそこ楽しい。
でも、どこか欠けてる気がする。何かが足りないように思う。

それは、僕の過去に関係しているかもしれないし、してないかもしれない。
この前、………いや、何でもないや。
でも、心当たりはあるんだ。

きっとずっと誰にも話す事は無いだろうから、僕はこれからも逆さまに落ちて続けていくんだろうな。
…誰にも知られず、ずっと。

12/5/2024, 3:04:50 PM

〔眠れないほど〕

眠れない夜。それは私にとってよくある夜で、眠れたとしても数時間で起きてしまう。
そして、眠れない夜にはいつも同じ事を考えてしまう。私の…好きだった人の事を。

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彼は、とっても優しい人だった。
でも、優しすぎて嫌われてしまう事もよくあったみたい。
…思いやりに溢れていて、優しくて、それでいて面白い。一緒にいるだけで心の底から楽しい人だ。
私は、そんな○●◎が、彼が、大好きだった。
でも…私が16になって結婚ができるようになる年、…彼は消えた。
どこかへ消えた。
行方は誰にも分からなかった。どれだけ捜しても彼は居なくて、置いて行かれたような気分になった。

…14年経った今でも、あれから彼を見た人は一人も居ない。私は、それでも捜し続けようと思う。
だって、彼は私の好きな人だから。
…一途すぎて笑われるかしら?あの人なら、『僕の事なんて忘れて、他のいい人を見つければいいのに』って言うかもしれないわね。でも、私は諦めたりしないわ。絶対にね。
この命が尽きるその瞬間まで、○●◎が、生きている事を、現れる事を、触れてくれる事を、ずっと、ずっと願い続けてるわ。きっと、叶うように。

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