君の名前を呼んだ日
大っ嫌いだ!あんな性格の悪いやつは居ない!
僕は、クラスメイトの武彦のことをずっとそう思っていた。高校受験の大事な時期に、付き合っていたら良いことは無い。
僕がクラスで発表すると、必ず難癖をつけてくる。学校の帰りにまとわりついてきて、なんだかんだ言う。着いてくるなとはさすがに言えず、曖昧な返事をして凌いでいた。
とうとう受験がやってきて、僕はどうにか志望校に合格した。難関校で、うちの学校から行くのは、毎年1人か2人だ。学校は、誰がどこに合格したか発表しないし、そもそも、あと何人受かっているのかも、誰もいないのかも分からない。そこからもう不安だった。
入学式の日、当たり前だが、みんな知らない顔で、僕は心細かった。
式が終わって、校庭でぼんやりしていると、遠くに武彦が見えた。僕は思わず、大声で彼を呼んだ。駆け寄って来る武彦をみて、案外悪いやつじゃないのかも、と、単純に思ってしまった。
No.209
やさしい雨音
勝手なもので、自分が外に出ない時の雨はすき。
いつもの、外のいろいろな音をソフトにしてくれる。軒を伝って落ちる雨の音は規則的で美しい。
なんとなくそれを数えていると、無心になれる。やさしい雨音だ。
No.208
歌
誰にでも好きな歌があるでしょう。
でも私には、好きではないのに忘れられない歌があります。今でも時々流れるその曲を聴くと、胸に甘酸っぱい哀しみが溢れます。
小さな淡い恋だったから、なおさらです。今となっては、叶わぬ恋で良かったのかなと思いますが。
聴くと、別れ際のことが蘇ってしまう、つらい歌です。
No.207
そっと包みこんで
生まれたばかりの娘を、助産婦さんに胸に乗せてもらって、あまりにもいたいけな小さな生き物に感動の涙を流した。
なによりも大切で、誰よりも守らなければいけない存在。そして、そういう存在がある幸せ。
あなたに何がつらいことがあったら、心をそっと包みこんで、いつまでもいつまでも肩を抱いていたいと思う。
そんなことを思った娘は成長し、今では病気の私をいたわり、そっと包みこんでくれている。
No.206
昨日と違う私
愚痴ばかり言っていても、つまらないだけだ。前向きに前向きに。
昨日と違う私になる!
元気倍増、笑顔倍増、好奇心倍増!
もともとみんな持ってるから、倍増する。
No.205