過ぎ去った日々は反省ばかりだから、
あまり思い出したくない。
今頃になって「あ!あれはそういう意味だったのか!」等と膝を叩く自分が可笑しくなってくる。
でも本当に必死だったよなあと少し愛おしくもなる。
ああ、本当に恥ずかしくなるから思い出すのはやめだやめだ!
お金よりも大事なものはたくさんある。
けれど身を持って知っている。
お金があってこそ、保たれる大事なものもある。
愛だってお金がなければ壊れてしまう。
現実はそういうもんです。
情緒に流されて誤魔化してしまう世の風潮が嫌いだ。
たまには素直なストーリーで、
素直な文章で、素直なオチで、
そういうのを書いた方がいいんじゃないの?
あんたのは変に捏ねすぎてるんだよ。
だから駄目なんだよ。
だからウケないんだよ。
じゃ、どうしたらいいですか?
そんなの自分じゃないような気がするんですけど。
そこ、曲げてまで書いた方がいいんですか?
ウケた方が正しいのでしょうか。
やっぱり安泰のストーリーが好まれるのですか?
個性は?独自性は?
たぶん、
力があれば素直なものでも個性は出せる。
そんな所まで行けるのかな。
……悩んでばかりだ。
大好きな君に会えないので、好きのスイッチを切ることにした。そうすれば嫉妬や自分が蔑ろにされているみじめさ、何より募る思いに苦しまずに済むからだ。
好きのスイッチを切る。
毎日が平坦になり、穏やかな心で過ごすことができる。
人は私のことを冷たいという。それでいい。本当は好きだなんて誰にも知られたくない。自分でも知らない方がいい。
スーパーに行くといつもより客が多い。あどけない少女の歌声のテープが店内に流れ、
ちらし寿司の特設コーナーには人集りができていた。ああ、今日は楽しいひなまつりかと思う。
実家に置いてきた私のお雛様は、神社に納められ海に沈んで行った。沢山の他のお雛様達と一緒に勇敢に船に乗り、波間に消えて行った。
あの白く冷たい美しい顔を思い出す。切れ長の目。黒髪。祖父が初孫の私の為に買ってくれたお雛様。今は深い水底に眠る少女の時の思い出。