kinako

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スーパーに行くといつもより客が多い。あどけない少女の歌声のテープが店内に流れ、
ちらし寿司の特設コーナーには人集りができていた。ああ、今日は楽しいひなまつりかと思う。
実家に置いてきた私のお雛様は、神社に納められ海に沈んで行った。沢山の他のお雛様達と一緒に勇敢に船に乗り、波間に消えて行った。
あの白く冷たい美しい顔を思い出す。切れ長の目。黒髪。祖父が初孫の私の為に買ってくれたお雛様。今は深い水底に眠る少女の時の思い出。

3/3/2023, 3:09:56 PM