YUYA

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2/11/2025, 4:09:40 PM

流れゆくもの

川はただ 静かに進む
光を映し 風にたゆたう
動きを止めれば 淀みはじめ
やがて その身を腐らせる

人もまた 歩みを止めれば
心は重く 鈍くなる
昨日のままでいようとして
明日の風を忘れてしまう

けれど 急ぐばかりではない
流れのままに 時を知る
滞らず 焦らずに
生きることこそ 澄みわたる秘訣

2/9/2025, 9:53:34 AM

赤い糸の魔女 〜過去と今と未来を繋ぐ者〜


冬の夜空に星が瞬く。
僕はひとり、公園のベンチに座っていた。
今日でちょうど二年。僕が新しい道を選んだあの日から、時は流れた。

「今日、何の日だか覚えてる?」

ふいに声がした。
驚いて顔を上げると、そこには**“過去の僕”**が立っていた。
あの頃の僕は、幼く、迷いを抱えたまま。
そしてその傍らには、一人の女が立っていた。

長い漆黒の髪をなびかせ、闇夜に溶け込むような黒いローブを纏っている。
細い指先に揺れる銀の杖。
彼女は僕を見つめ、微笑んだ。

「私は、赤い糸の魔女。あなたの過去と、今と、未来を繋ぐ者よ。」

彼女の言葉に、胸がざわめく。

「なぜここに?」

魔女は静かに微笑んだ。

「あなたの中で、まだ答えが出ていないから。」
「過去のあなたがここにいるのも、そのためよ。」

「お前は、本当に今の自分でいいの?」
過去の僕が、真っ直ぐに問いかける。

「……どういう意味だ?」

「君がこれまで築いてきたもの、本当にそれでいいのかって聞いてるんだ。」
「僕は……変わることを選んだ。でも、時々怖くなるんだよ。」

「怖い?」

「変わってしまえば、過去の僕が間違いだったみたいに思えるから。」
「だけど、それじゃあ過去の僕は報われない。あの頃の僕も、必死に生きてたんだ。」

魔女は銀の杖を振るった。
すると、僕の足元に一本の赤い糸が現れた。

それは、過去の僕と今の僕を繋いでいる。
そして、その糸はさらに遠くへ伸びているようだった。

「未来のあなたにも、繋がっているのよ。」

魔女の言葉に、僕はハッとする。
足元を辿るように視線を送ると、闇の向こうに**“未来の僕”**が佇んでいた。

未来の僕は、どこか穏やかで、堂々としていた。
まるで、全てを受け入れたかのように。

「……僕は、未来の僕に繋がれるのか?」

魔女は微笑む。

「あなたが信じるなら。」

過去を振り返ることも、未来を思うことも、すべて今の僕にかかっている。
過去の僕は間違いじゃない。
でも、未来の僕に進むためには、今の僕が選ばなければならない。

「赤い糸はね、愛する者同士を繋ぐものだけではないの。」
「あなたがあなた自身を信じる限り、赤い糸は解けないわ。」

「答えは出た?」
過去の僕が、静かに問いかける。

僕は深く息を吸い、ゆっくりと頷いた。
「……僕は、進むよ。」

魔女は満足そうに微笑み、そっと杖を振る。
すると、未来の僕へと続く赤い糸が、ゆっくりと輝き始めた。

「もう迷わない?」
「もう迷わない。」

過去を抱きしめ、未来へと歩む。
それが、僕の選んだ道だった。

魔女は最後に一言だけ残した。

「あなたが再び迷ったとき、また会いましょう。」

そして、赤い糸の魔女は夜の闇に消えた。

僕は前を向いて、ゆっくりと歩き出す。
未来の僕へと続く赤い糸を、しっかりと握りしめながら。

僕の物語は、まだ続いていく。
ゆっくりと、自分自身の手で紡ぎながら。

2/1/2025, 6:45:46 AM

「不器用な旅路」



誰かのように器用には生きられない
流れるままに歩くこともできない
道化の仮面をかぶれば楽だろうか
でも、それじゃあ自分が泣いてしまう

遠回りでもいい 不完全でもいい
選んだ道が自分を映すなら
それはきっと、間違いじゃない

時には笑われることもあるだろう
「そんなに考えなくてもいいのに」と
でも、心を偽らずに生きることが
どれほど強くて、美しいか

器用じゃなくていい
迷っても、立ち止まってもいい
大事なのは、自分を裏切らないこと

たどり着いた先にある景色は
不器用な旅を続けた者だけが
見ることのできる 唯一の光

1/23/2025, 12:41:32 PM

「瞳を閉じて、君を描く」



アキトはその日も目覚めと同時に、隣の空っぽのベッドを見つめた。そこには、かつての温もりが残っているかのような気がした。けれど、実際にはただの冷たいシーツが広がっているだけだった。

「サエ、君は今、どこにいるんだろう。」

呟いた声は誰にも届かない。隣にいたはずのサエが突然いなくなってから、何もかもが変わってしまった。朝日がカーテン越しに差し込むたび、アキトはその光に追いかけられるように毎日を過ごしていた。

アキトとサエが出会ったのは、春の始まりだった。桜が満開の公園で、彼女がふと振り返った瞬間に目が合った。その後、二人は偶然を装った必然のように近づき、いつの間にか日々を共有するようになった。

星空の下で一緒に願いをかけた夜もあった。
「このままずっと、こうしていられたらいいね。」
サエのその言葉に、アキトはただ頷いた。けれど、その時間はあまりにも短く儚かった。

サエは何も告げずに姿を消した。

最初は怒りや困惑ばかりが胸を埋め尽くした。それでも、時が経つにつれ、アキトはサエが残してくれたものに気づき始めた。彼女がいた日々の中で、彼は自分がどれだけ救われていたか、どれだけ強くなれたかを思い出すようになった。

夜、星空を見上げると、サエの笑顔が浮かぶようだった。
「瞳を閉じて、君を描く。それだけで、また歩ける気がする。」

アキトはそう自分に言い聞かせながら、一歩ずつ未来へ向かって進む決心をした。

季節は巡り、やがて秋が訪れた。サエがいなくなってから、初めて訪れる彼女との思い出の公園。木々は黄金色に染まり、風に葉が舞っていた。その景色の中で、アキトはふと空を見上げ、心の中で呟いた。

「サエ、ありがとう。君がくれたものを胸に、僕はこれからも進むよ。」

瞳を閉じると、彼女の笑顔がはっきりと浮かんだ。そしてその笑顔は、彼をこれからの未来へと優しく導いてくれる光になった。

アキトは静かに目を開け、深呼吸をして歩き出した。足取りはまだ少し重かったが、心の中には確かに、彼女が残した温もりと強さが息づいていた。

1/18/2025, 3:34:58 PM

「てのひらの宇宙」


小さな手のひらに広がる星空
無数の記憶が瞬きながら
消えては生まれ、巡り続ける
過去も未来も、ここにある

涙ひとつが落ちるたび
新たな銀河が生まれていく
砕けた星の欠片さえ
希望の光へと変わる

恐れや後悔、胸の影も
その宇宙の一部として輝く
悲しみが創る道しるべを
誰もがそっと見つめている

てのひらの宇宙に映るのは
私の心、私の世界
無限に広がるこの小さな空を
私は今日も、抱きしめる

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