NoName

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2/9/2023, 9:34:49 AM

どうも心が荒んでくると
何にだって悪意を見出し
滑って尻もちついただけで
道の氷に憎悪を抱く

そんな時こそ想い馳せよう
遠い遠いあなたのことを
どんな時でも私に向かって
微笑みかけてくれていると
自分に言い聞かせてみよう

いずれにせよ気のせいなら
仮想敵を見つけるよりも
仮想笑みを見ていたいから

「スマイル」

2/8/2023, 9:54:57 AM

こんな気持ちで書き殴ろうと
する言葉には涙が含まれて
撥水加工の無情な世界では
すべてはじき返される

誰に見られてもかまわないと
壁に大きく書こうとしても
ここなら誰も見ていないと
紙に小さく書こうとしても
世界が眠った後の夜空に
こっそり指で書いてみても
一字一句滑り落ちて
排水溝に流れ落ちて
処理場で削ぎ落とされる

やがて澄んだ海になり
そして純白の雲になり
今日みたいな雨になり
世界が潤いに満ちていく

湿った土や作物からは
嗚咽のニオイがすこし

「どこにも書けないこと」

2/7/2023, 9:55:04 AM

ソーラー式の腕時計の
針がいつのまにか止まって
窓辺で日光を当て続けても
うんともすんとも反応しない
6時55分をさしたまま
1秒も時が動いてくれない

壊れたんだと悟っても
まだ日光を当て続けてる
真っ白な文字盤がいつか
日に焼けてこんがり黒くなり
6時55分の日焼けの跡が
できる時が来るんじゃないかと
もう一度針が動き出すより
あり得ないそんな淡い期待

「時計の針」

2/6/2023, 7:26:03 AM

グツグツと煮える鍋の如く
吹き溢れだす秘めた気持ち
思い立ったが吉日と
アクセルを強く踏み込んで
火力を上げて会いに行く

吹き溢れの鍋に滴るような
汗で身体がゆるやかに冷める
冷え切ってしまう前にどうか
鍋つかみなんて使わずに
この熱を直に鷲掴んで

「溢れる気持ち」

2/5/2023, 8:45:07 AM

つむぐ言葉が遂に途切れ
つぐむ口を君から重ねた

「Kiss」

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