そっと伝えたい
そっと伝えてほしい。
化粧がケバい時。
早めに言ってくれればまだ直せるから。
なんならメイクし直してほしい。
そっと伝えてほしい。
スカートが捲れてる時。
単純に恥ずかしい。
言われた後、あー私スカート捲れながらここ歩いてたんだって思って羞恥心がじわじわくるから。
だから、気づいた瞬間そっと言ってほしい、全部。
蘭ちゃん、今日も可愛かったよ。
あ、ありがとう……。
これは言うタイミング合ってた?
もちろん!…いや、それも気づいた瞬間に言って!
ココロ
私はココロを癒すAIとして作られた。
なのにココロについてはよく知らない。
知らないのにココロを癒すって……AIも意外とバカなんだね
……なんて主人に言われてしまった。これが嫌味と言うのは知っている。ならばココロを知らなければ。
まずは主人の友達から。
頭を撫でられると、ココロはどう動きますか?
えーっと……嬉しいとか?
ちょっと気恥ずかしいなぁって感じることもあるよねぇ〜
プラスの気持ちじゃなくて、マイナスな気持ちもあるでしょ、気持ち悪いとか、嫌だとか。
全く真逆ですね…
一つの行動だけで、ココロはこんなに動くのか。
ココロを理解するのは難しいです……
だろ?簡単にココロを癒せると思わないことだな。
ドヤ顔の主人、この時ココロは……
イライラしますね。
おっ、わかってるじゃんAIちゃん、人のドヤ顔ってなーんかムカつく。
でも、たまーに可愛いなって思うこともあるよねぇ〜、昨日の類きゅん可愛かったなぁ〜
まひるのそれは推しだからじゃなくて?
ここでもココロの動きが違う……
ココロを癒すAIになる道のりは長そうです……。
星に願って
また独りぼっちの夜が来る。
冷たい石に囲まれた、小さな部屋で、寒さに身を縮こませながら、夜明けを待つ。
誰か、助けてほしい。
誰か、ここから連れ出してほしい。
腕を出すことしかできない、小さな窓から見える星に、何年も何年も願っている。
私の王子様が来てくれることを。
静かな夜明け
夜明けが近づくほど、窓の外が光り始める。
夜更かしした時に見るあの風景が好きだ。
瞬きするたび、世界に色がついていく。
朝の慌ただしさも、昼の騒がしさもない、ただ静かに夜が明けていく。
まるで世界には自分しかいないみたいに。
朝にならないで、ずっとこのままがいいな。
帽子かぶって
帽子って私に似合わないし、頭蒸れるし、多分今後ずっと買わないものだなぁって思ってた。だけど、最近帽子
は便利だと気づいた。
おぉ、やっぱり楽だぁ〜
そう、ボサボサの髪もノーメイクの顔も全部覆い隠せる便利なもの。外に出かけたいけど、きちんと準備する気はおきない。今日にピッタリ。たくさん調べて、ショッピングモールもネットも巡って買った甲斐があった。何もしてないのに、なんかオシャレに見える、帽子って便利だなぁ。気づけて良かった。
あれ、くるみじゃん
げっ…
何それ、傷つくんだけど〜
だってあんたに1番ノーメイクの顔を見られたくないから、なんて、言えるわけない。
あれ、そういえば私帽子かぶってるのによく気づいたね?
まぁ、そりぁ〜ね?てか珍しいね帽子かぶってるの
帽子が便利って気づいたからね
ふーん?俺はちょっと不便だけど
なんで?
だって顔が見えないから、くるみの
…今すっぴんだから見せらんない
えーすっぴんでも絶対可愛いのに
見てないから言えるの!!バカ!!
やっぱり帽子って便利、こんな真っ赤な顔見せられない…!