やわらかな光
忌々しい電子音が鳴り響く午前6時。
10月にはいった、といっても気温は夏頃とほぼ変わらないから、布団の恋しさはまだないので、まだ起きやすい。あくまで"まだ"だ。
緩慢な動きで体を起こして、太陽を睨む。気温は変わらないが、こいつの日の出の時間は遅くなってしまった。
夏は鬱陶しいと思うほど輝いていたのに、今はその輝きが半減している。しかも今日は土曜出勤。本当に会社を爆発したい。マジレスすると爆発したら自分が生きていけなくなるから困るんだけど。
身だしなみを整えるのも程々にして家を出る。
やる気のない挨拶が、部屋に淋しく響いた。
暖かい光に包まれて、目を覚ます。まだ寝ぼけているが、昨日帰ってきて、酒を飲み、そのまま寝落ちしたのを思い出した。となると今は日曜日。あの忌々しい電子音もならないし、日光に冷たさは感じない。昼間と朝の中間の、やわらかい、暖かい光だ。
ゆっくりと息を吸って、寝返りを打った。
最高の二度寝日和だな……。
やる気のない声が、部屋に溶けていった。
ジャングルジム
ジャングルジムと聞いて思い出すのは、小学校の校庭で高い鬼をした記憶。
別にあの頃に戻りたいとは思わないけど、私の中で綺麗な記憶として残っている。遊ぶのをやめて、ジャングルジムの上に登って、なぜかみんなで自分の一人称について話していた。放課後の空か、昼休みのの空が、きらきらと光っていた気がする。
今の自分よりずっと活発で、陽キャだった。今思うととても羨ましい。痩せてたし。
何年も前の自分は、確かに今の自分と同一人物なのに、何故か違う人間な気がする。
あの時の私は何を考えていたんだろう、じゃなくて、君は何を考えているの、って二人称になってしまう。
小学生なんて、悩みなんか無いと思ってしまうけど、絶対そんな事はなくて、でも、大人になる程、子どもの悩みを思い出せなくなる。それが嫌だったから、最近は日記のような何かを書くように心掛けてるんだけど、小学生の君の悩みはもう思い出せない。いつか君と話したい。夢の中でも良いから。あーあ、こう思うならタイムカプセルとか作っとけば良かった。
時間よ止まれ
時間が止まれば良いのにーってよく思う。
課題が終わってなかったり、楽しい時間がずっと続いて欲しかったり。マイナスな意味でもプラスな意味でもよく思う。最近はプラスな意味で思ったことがない。
初めて尽くしのことばっかで、もうよく分かんなくて。端的に言うと、とても疲れた。
休む時間をください。寝たら明日がきてしまう。
人に気を張って、理想の自分で立ち回らなきゃいけなくなる。
夜更かしはダメだってよく言うけど、私は、休む時間を作る方法を、夜更かしすることしか知らない。
誰か、私に上手に生きる術を教えてよ。
君からのLINE
ピロン、とLINEの通知オンが鳴った。
LINEの返信なんてめんどくさいから、通知音なんて、数ヶ月前はつけなかったんだけどな。
今は君からのLINEを心待ちにしている僕がいる。
てか、明日の宿題やった?
俺まだなんだけど
さっき終わった
マジ?
教えて
数学まじわからん
ブー、と間髪入れずに通話がかかってきた。
真っ暗な画面には、ニヤけた僕の顔が映っていた。
別に、君にとって僕はただの友達だと、君が僕を好きになることはないと知っている。それでも、君からくるLINEや通話に一喜一憂せずにはいられない。
今日も夜遅くまで通話できますように、なんて女々しいことを考えて、通話ボタンをタップした。
きらめき
最近私の中できらめいていることは食事だ。
美味しいものをたらふく食べたい。
好きなものを好きなだけ食べたい。
言い方を悪くすれば、暴飲暴食がしたい。
七月辺りはそんなに食欲がなかったのに、
今は、何かしらお菓子をつまみたい衝動を抑えられない。多分、ストレス。
五月病ならぬ、九月病ってやつかな。