雨に佇む
雨の音は好きだ。なんとなく、心が落ち着くから。
ザーザーと音を立てて降る雨も、土砂崩れなどを起こさないなら全然良い。
でも、今の私は人間関係や、受験という土砂降りの雨に打たれている。
現実で降っている雨は、屋根のあるところに行けば、打たれなくて済む。でもこの雨は雨宿りができない。
時間を無駄にしたと思うほど、雨の勢いは増して、心を濡らし、体の動きを重くする。
やまない雨はないなんていうけれど、いつ止むの?
一ヶ月?一年?十年?それとも死ぬまで?
そんなのキツすぎる。
でも、どんなにキツくても、自ら自分の命を断つ勇気もない。それに、まだ私の傘はあるから。
まだ、まだもう少し頑張れる。
絶対に、いつか雨を晴らすんだ———。
なんて思っていたのからはや一年。中学生から高校生になり、有難いことに受験も上手くいった。
でも、だからといって雨が止んだわけじゃない。
相変わらず、人間関係や勉強や将来などのいろんな悩みの雨の中に、私は佇んでいる。
少し背伸びして入った高校。周りは皆んな頭が良くて、高校生最初の夏で、挫折ばかりしている。
でも、少しだけ、目の前に光が差して、夢と言えるものができた。
あのとき、不登校で悩んでた時も、死にたくなった時も、私の傘になってくれた人達のように、私も誰かの傘になりたい。私の憧れの人達がしているように、大勢の人を笑顔にする出来ないけど、他の方法で、私は誰かの傘になる。
今はまだ頼りないボロボロの傘でも、私が大人といえるときになったら、絶対に、私があなた達の立派な傘になってみせるから。
私の日記帳
日記を書いてみることにした。
YouTubeで流れてくる、日記帳にコラージュをしているshostsを見て、良いなって思ったから。
まぁコラージュはしないんだけど、おしゃれな文房具を使っておしゃれに日記を書きたいだけなんだけど。
2学期が始まってから始めてみると、案外楽しかった。
飽き性な私には、3日で終わらず、10日間も続いたことは快挙だった。ちょっと嬉しかったこととか、爆笑したこととか、高校生活の何気ない思い出を書き留めていくのは、私たちが過ごした時間は消えない証みたいに思えて、日記帳が青春の結晶みたいに見えた。
最近は、すぐに書き留めたくなって日記帳を学校に持ってきていた。家に帰ってからちゃんとレイアウトするために、付箋に書いて貼るだけなんだけど。
授業中、さきが眠そうになってて、目を擦ったり、瞬きを何回もしてたのが可愛かった。あー付き合いたい。ちゅーしたい。ハグしたい。手繋ぎたい。
と、付箋にテキトウな字で書く。あ、結婚したい、も書こうかな。
何書いてんの〜?
んー日記書いてる〜
肩くらいまでかかる、綺麗な茶髪の髪を揺らしながら、さきがぴょこぴょことやってきた。
何日続いてんの?
もうすぐ20日!
え、三日坊主じゃない…!
すごいでしょ〜!
そうやってドヤってると、さきが私の日記帳を覗いた。
そこでハッと気づく。私の想い人への想いを綴った付箋を見てるのは、私の想い人じゃないか。
慌てて日記帳を閉じて顔を上げると、にやにやと笑ってるあかりがいた。
———私も、そういうあかりのドジなとこが好きだよ。
なんて、花が咲くように咲った。漫画だと、天使が私の心を弓で貫いている場面だ、なんて馬鹿なことを考える
すき、けっこんしよ。
まずは付き合ってからね。
はい!!!
私の日記帳は私のキューピッドだったのかも。
向かい合わせ
私と君は向かい合わせに座ることが多かった。
いつものお昼ご飯とか遊びに行ったときとか。
席替えしても、隣になったことは一度もない。
横に並んで、歩いたことも少ない。大体、他の友達と前か後ろを歩いてる。
近いけど、少し遠いと感じる距離。嫌われてるのかと思ったこともあるけど、そうじゃないことだけはわかる。
私の気にしすぎ?
でも、それが嫌だった。もっと君の近いところに居たい
だから、観覧車という2人っきりの空間を使った。
その機会が訪れたのは偶々だったけど。
観覧車の中でも、君は向かいに座った。どうやって隣にいこうか考えても、良い案は思いつかない。
ねぇ、隣座っても良い?
だからもう直球で聞いた。
なんで?
そっちに座ると海が綺麗に見えるから。
…いいよ。
君がちょっと右にズレたのを見てから、隣に座る。
肩が触れるくらいの至近距離。
綺麗な景色を見ながら、好きな人に触れるのってどきどきするなぁ、と初心なことを考える。
ちらりと横を見ると、体を硬直させたまま、下を向いていた。綺麗な黒い髪からは、赤くなった耳が見えた。
ねぇ————好きだよ。
付き合うまで、後0秒。
鏡
鏡を見たいと思わない。
だって自分の嫌いな顔が映るから。
自分の顔が嫌いだとを思ってる自分は人を見た目で判断する嫌な奴なんだなぁって思って、
また自分が嫌いになって、そして自己嫌悪に陥る。
まさに負のループ。
いつまでも捨てられないもの
いつまでも捨てられないものなんかない。
捨てられないと思ってた夢を今まで簡単に捨ててきた。
いつまでも捨てられないものがあって、
それにずっと執着し続けられる人が羨ましい。
そういう人になりたかった。