偉大なる魂殿

Open App
9/2/2024, 10:18:51 AM

永遠と燃え盛ると思っていた。
時に死ぬほど苦しみ、時に死ぬほど喜ぶような人生で、永遠に。
それが、こんなに弱くなるとは思わなかった。

朝日がよく見える病室のベッドに横たわるあなたの手を握る
「…一生、惚れてくれたな」
笑いながら言うあなた。
『生涯、惚れた相手と結婚したい』
そんなことをあなたにずっと言っていたから、ずーっと気にしていてくれた。
苦し紛れに吐いた息と、新しい不安を吸おうとした刹那、少し冷たいあなたの唇と私の唇が重なる。
おそらく最期のキス。噛み締めることも出来ずに、あなたはベッドに倒れこみ、徐々に体温を失っていく。

8/17/2024, 11:00:14 AM

あなたが亡くなって、何年がたったのかしら。
私ね、未だにあなたからの愛が捨てられないの。
私、あなたにもらったおし花も、初めて愛をもらったラブレターも、なにもかも捨てられないの。
どれも、あなたの愛で溢れているから。

8/8/2024, 2:02:51 PM

美しい君には、花よ蝶よと都合のいい言葉を並べる意地汚い芋虫が集まる。
君は純粋の権化みたいな人だから、
芋虫を疑おうともしない。
太陽のように笑って、海と空よりも広い大きな器でそんな奴らも包み込む。

でもね、僕知ってるんだよ
君が本当は地面を這いつくばる芋虫にすらも
嫌われたくないから、あんな態度をしてるって。
世界中の誰からも愛される、なんてことは出来ない事を君は重々理解しているのに。

8/7/2024, 2:18:20 PM

始めから、あなたに会わなければ良かった。
会わなければ、あなたを失うときの悲しみも、
苦しみも寂しさも感じることが無かったのに。
嫌い。嫌いだ。
僕の事をおいて、僕の手の届かないところに行ってしまうあなたが大っ嫌い

でも、でも、僕はあなたを心から嫌うことが出来ない。
僕はそれ以上にあなたを愛しているから。

きっと、あなたと会うことは最初から決まっていた運命だったんだ。
あなたを見て、初めて心臓があんなにうるさく鼓動することを知ったんだもの。

8/6/2024, 10:28:11 AM

あの人は太陽のような人だった。
だから、僕のもとを離れて天国に行ってしまった。

あの人が天国に行ってから数十年。
愕然と空いた心の穴は1ミリも埋まっていない。
そろそろ僕も潮時だ。
あの人は太陽になったも同然だから、僕は月なんだろうか。
でも、月だけは嫌だ。
月と太陽はほとんど交わることがないから。
月になるくらいならば、
そう思いながら病院を抜け出し森の泉のほとりに立つ。
光輝く月を見上げる。
月に、月になるくらいならば、
「シリウスになりたい」

Next