"軌跡"
「いつか忘れんのかな」って
君がぼそっと言った午後
缶コーヒーの苦さだけが
妙に大人びて感じた
放課後 意味もなく遠回りして
くだらない話で笑い合った
あの日の何もかもが
どこへ向かってるかなんて知らずに
ただ真っ直ぐ 進んでた
そして今——
ふと手にした缶コーヒーの苦さに
あの言葉が、やけに沁みた
「いつか忘れんのかな」
…たぶんもう、忘れてなんかいない。
ただ、あの日に戻れないってことだけが
ずっと、苦いまま残ってる。
小さい頃、よく君と影絵をしたよね。
笑いながら、手を重ねて、
うさぎだの鳥だの、夢中で作ってた。
あの頃は、それだけで楽しかった。
でも今じゃ、
君の影すら届かないところにいるみたいだ。
…それでもさ、
たまには、また一緒に遊ぼうよ
静かな情熱
泣いても、笑ってもこれが最後の試合。
会場のざわめきが皮膚を刺す。
飲み込まれそうな重圧に、喉が少しだけ乾いた。
俺は、思いっきり胸を叩いた。
自分に――「できる」と言い聞かせるように。
目を閉じて、深く息を吸い込む。
心を静め、身体に流れる血を感じる。
準備は、すでに整っていた。
最後に高笑いするのは俺だ。
そして俺は、お前に一本を奪った。
卒業式の帰り
誰もいなくなった教室で
ずっと隠してた想いを
やっと声にした
「ずっと恋愛として好きだった」
言った瞬間 涙が溢れて
止められなかったのは
想いじゃなく恐れだったのかもしれない
君は驚きもせず
いつもの笑顔で俺を見つめて
何も言わずにそっと抱きしめてくれた
めくれた制服の袖がふれた
あたたかくて切なくて
ただそれだけで胸がいっぱいになった
誰にも言えなかった気持ちを
君だけがまっすぐに受け止めてくれた
その瞬間世界が少しだけ
優しくなった気がしたんだ
この恋に名前はいらない
叶わなくてももういいと思えた
だって君に触れた最後の春が
こんなにも美しかったから
未来のことなんか何も想像つかないけど
10年後も、50年後も君と一緒にいたいな
君が僕のことを選んだように
来世でも僕は君を選ぶだろう。