2/5/2024, 11:44:26 AM
屑籠が溢れている
押し込めばまだいけると思った
一瞬収まったかに思えたそれは
時間と共に膨らんで
屑籠から溢れている
散らばったそれを拾い集める時ほど
惨めな気持ちはなくて
溜め込むと捨てるのも一苦労だから
掃除はこまめにね
『溢れる気持ち』
2/4/2024, 10:55:17 AM
キスで呪いが解けるのは御伽噺の定石
現実で解けるのはどうやら
悪い魔法だけではないらしい
お姫さまも王子さまもいない
世の中は蛙で溢れている
いくばくかの恐怖や 憧憬や 矜持
あるいは恋といった魔法が
健気な蛙たちを人たらしめているのだ
真実の愛とやらがあるのなら
蛙をお姫さまや王子さまに変える
魔法が使えるのかもしれない
たとえばキスのひとつで
『kiss』
2/4/2024, 2:45:54 AM
1000年より前から
人は美しいものを集めてきたのだ
それは珍しい石ころだったり
心踊るリズムであったり
空の色だったりした
時にはそれを空想に織り込んで
豪奢な反物を仕立てるように
物語を編んで
その価値を分かち合った
1000年先も人は集めているだろうか
波打ち際で貝を探すように
火星の砂漠で
月の裏側で
飽きもせず美しいものを
『1000年先も...』
8/16/2023, 12:28:48 PM
黄金色に輝くたてがみ
きよらかな銀梅花の冠
胸にともるルビーの勲章
目にはうつらない美しい飾り
『誇らしさ』
8/15/2023, 1:03:48 PM
夜の海の底を
旅せざるおえない日も大丈夫
命は発光していてあたたかいものだから
おどろおどろしい怪物のかげも
照らしてみればよく知るかたちをしているはずさ
東を目指す旅
ありがたい経典を得られるわけでもなく
苦難をともにする仲間もいない
死の淵の闇をのぞきこむような航海
けれどそれは生まれ変わりのチャンス
ほら
東の水平線にはたくさんのひかりが集まって
空を燃やしているよ
もうすぐ夜が明ける
『夜の海』