あまり

Open App
7/29/2023, 1:16:01 AM

はぐれないようにって
服のすそを掴もうとする君
のびるからやめなよって
宙をさまよう手をとって
りんご飴をふたつ買った

こはく色に光るりんかくの
まっ赤で丸いそれは
大きくて固くて食べづらい
あんのじょう 苦戦している君
でも怒りもせずになんだか楽しそうだ
値段は少し高いけど
可愛いからしかたないね と
口いっぱいに甘さを頬張る夏


『お祭り』

7/27/2023, 12:26:13 PM

"もうおやすみ
夜はふけた
ベルベットの暗闇が
優しくまぶたをくすぐっても
きみたちはそれをはらおうと
無闇に明かりをふりかざして
子供たち
だだをこねず
もう寝ること"

暗がりから誰かが息を吹いて
ロウソクの灯りがかき消えるように
街の明かりは一斉に消えて
すると今度は
空いちめんに星が
降り落ちんばかりに瞬いて
天上にお住まいの神様たちも
今夜はずいぶん
夜ふかしのようですね


『神様が舞い降りてきて、こう言った。』

7/16/2023, 12:50:48 PM

ハロー
空が高すぎるこんな日は
不安なんです
風船のように
どこまでも飛んでゆく妄想
水面を見つめるときの
めまいに似ている

おばさんにもらった風船のひも
離してしまってごめんなさい
私がぼんやりしていたばかりに
あっとゆう間にそらに吸い込まれて
よるべなく飛んでいく姿が
ずっと小さくなるまで見えていた

ハロー
きみは月の衛星になって
なんてこともなく きっと
寒すぎる大気に破裂してしまった
そんなことが思い浮かぶ
うっかり落っこちてしまいそうな
青すぎる空

『空を見上げて心に浮かんだこと』

7/16/2023, 2:37:13 AM

ずっと目をあけたまま夢を見ている

小さな庭のひだまりで
自分のしっぽを追いかけて
バターになりかけてる子犬

ピアノの音が
途切れたり もどったりしながら
ワルツを伴奏している

空に雲が龍の鱗のかたち
錯覚かと思うくらいうすく
虹に色づいて
ゆっくり やわらかく形を変えている

自分のしっぽを齧りながら眠る蛇の
見る夢はどんな夢
目覚めたらはじけて消えるような
シャボン玉の色

『終わりにしよう』

4/6/2023, 10:56:16 AM

そんなことあるはずもないのに
良くできた人形の瞳が
こちらを追って見えるように
あなたの言葉の切先は
いつもこちらを向いている気がする

どれほどの時間を費やせば
それほど鋭く光るものか
あなたが磨き上げた狂気は
うっとりするほど美しい

あなたの目の中を覗けば
恐ろしいほど凪いで見えた
黒い湖面は
静かに煮え立ち
さらにその奥に
燃えたぎる地獄が見えた

本を閉じて
現実に立ち返るように
まぶたを閉じて
その赤を遮る
しかしてその鮮烈な炎は
シャッターを切られたように
網膜に焼き付いて
私の小さな地獄になった

向日葵の花がいつでも太陽を向くように
いつもあなたを目で追っていたのは


『君の目を見つめると』

Next