あまり

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3/4/2023, 9:44:08 PM

両手一杯の花籠に
君の好きな色のリボンを掛けて
袋一杯にお菓子を
甘いのからおつまみまで
ドリンクは何がいい?
とびきり上手くいれてあげるよ
カモミールのミルクティー
アロマのキャンドル
カラフルなバスボム
宝石みたいな石鹸
そうだ君のお気に入りの作家さんの
新刊はもう買ったのかな

大好きな君に大好きなものをたくさん
たくさん抱えて笑って欲しい

あわよくばその中の
一つになれたら嬉しい


『大好きな君に』

3/3/2023, 2:19:00 PM

なあんかひなまつりって
急速に気分が落下していくのです
私にとっておひなさまって
この季節デパートや施設に飾られているのを
遠巻きに眺めるくらいのもので
実際ひな人形を飾る家庭ってどのくらいあるのかしら

とはいえ我が家にも昔は
祖母が姉の為に買ったひな人形があったそうで
今より白い壁の前に飾られたひな壇と
ちょっとおすましな姉との写真が残っている
しかし役目を終えた後はさして大切にもされず
どういう訳か私が物心ついたころには
湿気で爆発したざんばら髪の
おひなさまの首だけが
納戸に転がっていた

当時通っていた保育所では
保育士さんたちの真心こもった顔はめパネルで
子供たちはみんなおひなさまさまとおだいりさま
綺麗なピンクの装飾が似合う
可愛い女の子たちが眩しくて羨ましかった
ざんばら髪で死んだ魚の目をしたおひなさま
一緒に写っているこれは誰くんだ?
はれの日の思い出に少しの申し訳なさが
この季節の空気を今も苦くしている

3/2/2023, 12:55:45 PM

小さな頃はシンデレラをよく見てた
お姫様より魔法使いになりたかった
希望なんて
ひとつあれば上等
闇を抱えた人ほど明るく笑う
灰の中に蘇る不屈の輝きで
夢か幻でもいい
泥の中に咲くものがあると信じる
真夜中に虹を掛けるような
魔法を信じてる


『たったひとつの希望』

3/1/2023, 9:42:51 PM

一瞬満たされた気持ちになっても
それは永遠にならないので
幸せを注ぐための器は皆
少しずつ欠けているものなんだろう

『欲望』

2/28/2023, 2:42:51 PM

生まれ育った街
春になるとたんぽぽの綿毛で覆われて
近所の犬や子供達の遊び場だった広い空き地
今は住宅とクリーニング屋で埋まっている
埋められた側溝には昔
雨が降るとあめんぼが飛んできて
不思議なリズムで水面を滑っていた

過去の中にしか存在しない景色は
地球上の何処より遠いと思った
時間が経つほどに
その距離は離れていく
全てのことに変化は訪れて
それは少し寂しいけれど楽しい

始発列車が走り出し
遠ざかる街へさよならと手を振った


『遠くの街へ』

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