あまり

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2/16/2023, 2:13:54 PM

あったかくて ふわふわ
きおくのすみで ゆれる
ふさふさしろい しっぽ
なまあたたかい いきと
しめったくろい おはな
しあわせそうな えがお
つられてみんな えがお
あったかくて あたたか

『誰よりも』

2/15/2023, 1:56:33 PM

ある日郵便受けを覗くと、
差出人の名前の無い手紙が入っていた。
宛名には『10年前の自分へ』と書かれていた。

10年後世界は滅びるらしい。
手紙には古今東西の終末論を網羅したような未来と、
悲劇的でも英雄的でもない
凡庸な私の死に様が綴られていた。

たちの悪い悪戯だと思い、ゴミ箱へ捨てた。
それだけの出来事だった。
しかし今でも時々、思いだすことがある。
あれが本当に未来からの手紙だったとして、
私は自分に何を伝えたかったのだろう。

安心しなよ、なのか
頑張れよ、なのか

くだらないと思いながら、
本当は終末論に期待していた過去の自分を想う。
今も10年後も、それは変わらないのかもしれない。

答え合わせの日が来るのを、
あの頃の気持ちで待っている。


『10年後の私から届いた手紙』

2/14/2023, 2:29:41 PM

はっぴーばれんたいんでー
向春の候
世間では悲喜交々ある人もいるらしい
わたしの周りではそんな話
聞いたことが無いけれど

はっぴーばれんたいんでー
チョコ会社の陰謀とやらに
進んで踊らされる人
踊らない人
勝ち負けの基準は人それぞれ

はっぴーばれんたいんでー
特別仕様に可愛らしいチョコたち
飢えたハイエナの目で眺める
また後日、
値引きのシールが貼られた頃に

うぃる ゆー びー まい ばれんたいん?
真っ赤なハートで埋め尽くされた売り場は
どうにもむず痒くて飛び込みづらい
そんなこと気にしなければ
ここに書けることもあったのかも

はっぴーばれんたいんでー
心躍る人も 躍らない人も
躍れない人も 食いしん坊さんも

はっぴーばれんたいんでー


『バレンタイン』

2/13/2023, 11:31:37 AM

待ってて
君がどこで泣いていても
僕が見つけてあげるよ
大丈夫

君は随分せっかちだから
大事なものを詰め込んだ
ポケットから ひとつ ふたつ
転げ落ちても気がつかないんだ

ピンクのちりめんで包んだお守り
雑誌の付録についてた何かのフィギュア
しなしなになってしまった四葉のクローバー
ソーダ味のしゅわしゅわキャンディ

無くしたと知ったら
ひどく泣くくせに

僕は少しぼんやりだから
みんなよりゆっくり歩いて
大人たちには見えない宝物を
ちゃんと拾っておくからね

だからどうか
僕をおいていかないでよ


『待ってて』

2/12/2023, 11:15:28 AM

伝えたいことがなくとも
筆をとってしまうのは
自分を誰かに伝えたいから
孤独を共有することで
孤独から解放されたいから

どこまでも自分本意なコミュニケーション
だからきっと
登山者同士が交わす挨拶のような
遠く離れた星へのCQのような
距離感が暖かくて優しい


『伝えたい』

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