お祭り
私は祭りの日に生まれた
割合大きなお祭りで 夜の行事のために
みんな仕事は早めに切り上げてしまうような
地元民にとってはちょっとした大きなイベントだ
私が生まれた年は
きっと母は祭に参加できなかったんだろう
父は私と母を置いて飲みに行ったのだろうか
今となっては教えてくれる人は誰もいない
子供の頃は自分の誕生日というより
お祭が待ち遠しかった
テーブルに並ぶご馳走
賑やかな出店 華やかな民謡流し
あの頃はこんなに楽しいお祭りが
来年も再来年も当たり前にあると
思っていた
いまは 母もいない 父もいない
わたしは一人地元のケーブルテレビに映る
祭をちらっと見てテレビを消す
誰かのためになるならば
また 誰かがホチキス出しっぱなしにしてる
また コピー機の紙が補充されてない
また プリンターに出しっぱなしで退社している
また シュレッダーが満タン
また また また
誰かのためになるなんて思わない
誰にも気づかれなくても
私は自分のために
ホチキスをしまう
プリンターに出しっぱなしの資料をしまう
コピーの紙を補充する
シュレッダーのゴミを捨てる
きっと 神様が見ていてくれて
わたしに褒美をくれるはず
自分のために
誰かのためにらなるならば
そんなの思わない
それは 自分のためになるから
そう思わないと やってられないでしょ
くそっ!
ちょっとはおまえら誰かのことを考えろ。
真夜中
真夜中に誰かがわたしの足の親指を
ぎゅっと握った
????誰
怖い 誰もいないはずなのに
こういう時って目は開けられないよね
今も握られた感触が残ってる
霊的なもの?
でもなんで 親指のみ握ったんだ?
小さな命
あなたが生まれた時
あなたの肌は信じられないぐらい
きれいな桜色で
その色にちなんだ名前をつけた
標準よりも ずいぶん小さく産んでしまったことで
ものすごく 自分自身を責めてしまったけれど
小さな命のかたまりだった あなたと一緒にいると
誰もが素敵な やさしい桜色につつまれたような
おだやかな気持ちになれた
大人になったあなたは
誰かに守られなくてはいけないような
小さな命では ないけれど
周りの人を 安心させる あたたかく
やさしい雰囲気はかわらない
ありがとう
生まれてくれて ありがとう
今日にさようなら
みなさん 今日は良い1日でしたか?
わたしは今日は とても楽しい1日でした
朝起きて そうじをして
気になっていた 小説を読んで
その小説の内容が 思ったより
ヘビーでどんよりした
どんよりしたよって 君に話したら
心配してくれて
それから その後は
一緒に 電車にのって
一緒に ごはんを食べて
一緒に 散歩して
こんなに 幸せなら1日なら
今日にさよならなんてしたくない
君がもうすぐ離れて行ってしまうと思うと
今日のさよならが 本当につらいよ