無色ってすごいものだ。だって私達が無色なら、何色にだってなれてしまう。
幾重にも花弁を重ねた薔薇のような真紅にも、入道雲を映えさす空のような紺碧にも。もちろん、足跡ひとつない雪のような白や、ぽっかりと月が浮かぶ夜空のような黒にだってなれてしまう。
あの人から黄をもらって、あの人からは緑を。そうやって色んな色が混ざっていく。混じりあった色は、最後にはきっと黒になるのだろう。眩い光すら恐れてしまうような、黒に。
だから私は、そうなる前にあなたの色に染まりたい。私が愛したあなたに。あなたが愛した私を。どんな色にも負けないような、そんな色に染めて欲しい。
あなたに言ったら、嫌だと言われてしまいそう。けれど、私はやっぱりあなたの色がいい。どうか私の無色の世界を、この世でいちばん素敵なあなたの色に染めて欲しい。そうしたら私は、この世界を、きっと今より愛せるから。
届かぬ想い。
そう例えば、思っていたより拗らせてしまったもの、とか。
届かないというより、届けないようにしているのかもしれない。
だって届いてしまったら、傷つけてしまうような気がしているから。
女の子なのに、好きになってしまった。
優しいあなたは「そっか」と柔く微笑んで肯定するかもしれない。それはひょっとしたら救いかもしれない。けれど、私にはその肯定を素直に受け取れない。あなたに何か、無理をさせているような気がして。
あなたが私を友達として心底愛してくれているのを知っている。だから、あなたが私を傷つけられないことも知っている。
私を愛してくれる優しいあなたに、全く同じ感情で返せないのが苦しい。あなたの優しさに甘えて、ドロドロした感情を隠したまま友達でいる私を、どうか許して欲しい。
それは友愛の延長と言われてしまえばそうで、それは性愛だと言われてしまえば性愛になってしまう。私はこれを、上手く終わらせられるのだろうか。どうか私の中にしまったままで。
ああどうか、性愛とも友愛ともつかないこの想いが、どうかあなたに届いてしまいませんように。