t「歌」

歌、うたうのは誰にでもある程度できるのに作詞になると途端に難しくなる。
文字を書き慣れていたって、単語を並べ慣れていたって、歌詞を書く、となると難しい。
同じ画面とか紙とかに向かって、字を描くだけなのに。
それぞれに小説家とか作詞家とかの役職の名前があるのも理解できる気がした。文字の羅列を作り出す仕事なのにこれほどまでに変わってくるのだと思うと見方も変わってくる。
誰かに届くように響くように作る歌は本当にすごい。
誰かを魅了するように引き込まれるそんな小説もすごい。
それぞれがそれぞれの楽しみ方を出来る。そんな人になれてよかったなと思う。

「そっと包みこんで」

お題を見たときに小籠包が思い浮かんだ自分は食いしん坊なのかもしれない。
そしたら皮をそっと包みこんでください。って料理番組で聞きそうなフレーズだなと思った。
それ以外だとやっぱり何かを手でそっと包み込むみたいなイメージなのかな？そっとって言葉はゆっくりとか腫れ物を扱うみたいなイメージで、包みこんでって言葉で優しく触れるみたいなイメージになっちゃうかなと。やっぱり小籠包じゃない？いや餃子でもいいか？焼売もいけるか？いや、焼売は包む感じではない？
どう考えても小籠包になっちゃうからやっぱり自分は食いしん坊なのかも。

t「昨日と違う私」

イメチェンするほど時間もお金もあるわけじゃない。
どこかの節目でイメチェンする人はいるけど、それをするにはたくさん知識や勉強をして、自分の似合う色を探して、色んな人に何かいいのない？なんて相談すしたりする。化粧も髪型も何も無い状態から、どんなものがいいのか見極める力も身につけるか、もしくは試さないといけない。
私にはそんなパッ！とすぐにかわれるような時間なんてなくて、ゆっくりでしか変わることが出来ない。そう悩んでいたある日、友達になんか可愛くなったね。って言ってもらえた。ゆっくり変わっていく自分に気付いてそう言ってもらえて嬉しかった。いきなり変わらなくてもゆっくり変わっていくんでもいいんだ！とそう思えた。
だから私は私のペースでゆっくり変わっていこう。毎朝鏡を見て笑顔を作る。化粧をして変じゃないか確認する。この口紅をかえたりチークをかえたり、アイシャドウの付け方をかえたり、マスカラをいつもより少し多めにしたり。昨日と違う私で、私に似合うものを探してゆっくり変わっていく。

t「空に溶ける」

地平線を見るのが好きだった。
空と海が合わさってどこまでも続いているような、そんな錯覚に浸れるから。
目の前に広がる光景の、その先の自由さを想像するのが好きだった。
海にぷかぷかと浮かび海と同じ色の空を眺めて天と地がひっくり返ったような、あの感覚が好きだった。
地平線はどこまでいっても地平線で、空が海に溺れているのか、海が空に溶け込んでいるのか分からない。
ただそれを眺めることができなくなった今、空ばかり見て海を思い出しその先の混ざる地平線に思いを募らせている。

t「まって」

ドント・ストップ！ダメ！ゼッタイ！
警戒をしめす赤の文字と大きな否定的な言葉がでかでかとかかれたポスター。交通安全やいじめ、その他やってはいけないよという呼びかけの意味も含めて貼ってある。
こんなもので人がやめてくれたり、止まってくれたりしたら苦労しないよな…。
そんな事を考えながらポスターの横を通過する。
まって！！！
聞き慣れた声に一度止まり振り向く。
結局何に対しても、とどまれるのは親しい人の声なんだなとか思った。
おいて行かないでよ！
ごめんごめん。
どこ行こうとしたの！？ダメだって言ったよね！？
うん。ごめんね。
もう飛び降りようとしないよね！？一人でふらっといなくなられたら心配するじゃん！
大丈夫大丈夫。
大丈夫そうじゃないから必死なんでしょ！？
君がいるから今は大丈夫だよ。引き止めてくれる君がいるから。