t「永遠の花束」
君から貰った言葉はいつも綺麗で優しい。
自分の事を思って放たれた言葉は時に厳しく時に暖かい。
君の言葉一つで一喜一憂してしまう。君の事が好きだから。
自分が単純なだけなのかもしれないけど。
君から貰った言葉でいつか花束を作りたい。
自分が嬉しかったり悲しかったりした言葉の花束。
君から毎日贈られるプレゼント。
ありがとう。愛してる。大好きだよ。可愛いね。かっこいいね。素敵だね。すごいね。ただいま。おかえりなさい。いただきます。ごちそうさま。おそまつさま。
そんな日常で使う言葉でもいい。大好きな人から贈られる毎日の言葉を心の中で束ねて一生枯れない、自分だけの大好きな永遠の花束。
t「やさしくしないで」
君は最後まで優しかった…。
君が亡くなった。病気でも事故でもない、所謂寿命で。
お互いに悔いのない人生だったね、と笑い合いながら。
それでも先に旅立たれるのは悲しくて泣いてしまった。
君は泣きながら笑う僕を見て、ありがとうと言ってくれた。
久しぶりに聞いたその言葉にやっぱり泣いた。
普段から君は周りに対して厳しい言動が多いけれど
それは君自身に対して厳しい事を知っているし
認めた人にしかその態度を取らないのも知っている。
だから君が周りから不遜な態度と言われても一緒にいた。
大好きな君だから不器用な君もまた君の一部だから。
君が亡くなり遺品整理のため君の部屋に踏み入る。
普段から綺麗好きな君は部屋も綺麗だ。
本棚には二人の思い出のアルバムが綺麗に並べられている。
そしてテーブルには二人並んで撮った写真が置いてある。
こおゆう所が可愛いなって思ってしまう。
一つ一つ整理しながら思い出に浸る。
テーブルの引き出しを開けると見慣れない手紙が一枚。
取り出すと君の字で自分宛のようだった。
中身を取り出し読み上げる。
…最後まで君って奴は自分の事を考えてくれてたのか。
君の手紙に涙が出る。やさしくないでくれよ。
いつもみたいに馬鹿って言ってくれよ、こんなのズルいよ。
ほらねやっぱり君は不器用だ。でもありがとう。
自分も最後まで生きるよ、そしたら君は迎えに来てくれるかな。
t「隠された手紙」
これは、文字として残していいものか分からないけど
でももし先に自分の方が亡くなってしまった時
悲しみ君のために書き残しておきたいと思う
普段から悪態ばかりついて嫌な奴な自分だけど
自分は君と一緒にいて後悔した事は一度もない
どんな事があっても君が笑ってくれたから
君が自分の手を取ってくれたから君のために
今の自分があって頑張ってこれた
拙い文字で文のまとまりもないがこれだけは書いておく
ありがとう
これからも君は君らしく最後まで足掻いて生きて欲しい
まだまだ書きたい事はあったがとりあえずそれだけを書いて
テーブルの引き出しの奥にしまい込んだ
これを使わないですむように君より長生きしないとな
t「旅の途中」
人生は死ぬまで旅の途中だ
みたいな事を誰か言ってなかったか?
なんで生きる事が旅の途中やねん
途中参加も途中下車も出来んのやぞ
言葉を残した人は旅にでたらいい
俺は行かない、行く必要がない
俺は楽になるまで自由に生きるんだ!
t「まだ知らない君」
画面の向こうの君は何をしているのかな?
同じ画面を見ているのに、感じる事や思う事が違う
見た目も年齢も思考もやりたい事や生き甲斐とか
みんな違う毎日を過ごしている中でたまたま
本当にたまたま同じ画面を見た君
きっと君は私と違う時間に見ていると思う
こんな茶番でふふって笑ってくれるかな?
それとも少しバカにされちゃうかな?
なんでもいい、君の感情が少しでも揺れてくれたら
画面の向こうで見ている君が今日も幸せであれと
明日も明後日もこれからも辛い事があったとしても
それを乗り越えて笑って頑張って生きていてほしい
そう私は願っているよ、まだ知らない君へ
私と誰かと画面越しで笑ってまたあおう