ただひとりの君へ
あの子はずっとひとりだ
私は中学の時からずっとあの子の同じクラスだがあの子が誰かと親しげに話してるのなんて見たことがないし、いつも必要最低限のことしか話さない
ひとりが好きなんだろうな
私はそう結論づけていた
だが、そうではなかったらしい
好きな作家の新作を買いに本屋に向かっている途中、あの子を見かけた
それだけなら今までもあの子を見かけることはあったから別に何でもないことだった
しかしその日はあの子と一緒に歩いている人がいた
しかも笑顔で、楽しげに会話していたのだ
本当に驚いた
あんな顔できるんだ。そう思った
あの子は親しい人などいない孤独な人だと思ってた
でも、そうじゃなかった
なんで?
あなたがひとりでなきゃ私はどうしたらいいの?
コミュニケーションが得意でない私にとって、あの子は唯一下に見れる存在だった
あの子がひとりでいたから私はあの子よりましだからと、そう思えたのに
書き途中
「えっ?」
5年前に別れた彼女から連絡がきた。
別れてから一切連絡を取っていないのになぜ?
そう思いながら彼女とのLINEを開く。
「はっ?」
書き途中
ピピピピピピ ピピピピピピ
携帯のアラーム音で目が覚めた。
今日は特別な日だから二度寝はできない。
眠気と戦いながらリビングに向かう。
おや、珍しい
いつもは私より遅くに起きてくる彼女がキッチンに立ち何か作っていた。
どうやら朝食を作ってくれているらしい。
優しい彼女のことだ、いつもは私が朝食を作っているから今日くらいはと早起きしてくれたのだろう。
ソファーに座り彼女の後ろ姿をながめていたが段々眠くなってきた。
目をあけていようとしてもすぐに瞼がおりてきてしまう。
あぁ、ねむいなあ
ふと、目が覚めた。ベッドの上で。
しばらくボーっとしていたが喉の乾きを感じてリビングに向かう。
…幸せな夢だったな。
楽しかったあの頃の夢をみるなんて何ヵ月ぶりだろう。
やはり今日は彼女の命日だからだろうか。
普段の思い出さないようにしていることを思い出してしまう。
あぁ、ずっと眠っていたかった。
当たり前って難しい、最近よく思うの。前までは「よく頑張ったね」とか「すごいね」と褒められたのにもうちっとも褒められやしない。できて当たり前だという無言の圧ばっかり寄越してくる。なんかやだ、もっと褒めてほしい。頑張ったんだから。端からみたら当たり前の範疇かもしれないけど私にとっては頑張った方なんだよ。当たり前のことをやれ、このくらいできて当たり前。自分はできてると思ってたんだけどなぁ。私の当たり前は当たり前でないのかな、先生。ねぇ、あなたは当たり前ってなんだと思う。…そっか、やっぱり合わないね、私と先生。