君からのLINE
とくに予定がなくやる事のない休日。
ゴロゴロダラダラ過ごしていると、友人からLINEがきた。
内容は、彼氏と待ち合わせしてご飯に行こうとしていたら、自分が待ち合わせに遅刻してしまったというものだ。
ふーん。と思いながら読んでいると、今度はその友人から電話が鳴った。
どうしたの?と聞くと、友人は、2分遅刻したんだけど彼氏が待ち合わせに居なくて、美容室に髪切りに行ってくる。と彼からLINEがあった。と言った。
思わず笑ってしまったが、私自身がそういう目にあったら実際は怒っていたと思う。しかし、友人は全く怒っておらず、私も遅刻が多いからお互い様だから。と言うのだ。
相変わらずネタの尽きない不思議なカップルだ…。
きらめき
土曜日。
さぁ、今日はこの散らかった部屋を綺麗にするぞ。
一人暮らしで誰にも迷惑をかけていないとはいえ、さすがに目に余るこの汚部屋。とりあえず足元の物から拾い上げていく事にした。
何かに没頭すると日頃の鬱憤が忘れられるし、片付ける動作で運動になるから一石二鳥〜♪なんて思っているとなにやら懐かしい物が。
アルバムだ。
そういえば一人暮らしをすると家族に伝えた時に、寂しくならないようにと母が持たせてくれたんだっけ。
写真には小さい頃の自分や祖父や祖母、若い頃の親、昔飼っていた犬が写っている。
今となっては色褪せた写真なのに、あの頃は世界が光って見えたんだよな。
明日は久しぶりに実家に帰ろう。片付ける手を少し早めながら呟いた。
だから、一人でいたい。
気配り、思いやり、上下関係…。
凝り固まったルールに縛られる毎日から解放を許されるのは、決められたわずかな休日だけ。
日々日本は、その場で不満を言えず、様々なストレスを抱えている人間で溢れているだろう。
勿論、私もその1人だ。
私も日本人ゆえに奥ゆかしく、悪しき感情を表に出さずに心に留める事にしている。見た目は能面、素顔は般若、その名は…といったところだ。
私は自称脳ある鷹だ。社内で愚痴を吐こうものなら、たちまち噂が広まる事を知っているので絶対に言わない。所詮他人に仏のような人は居ない。全員能面の皮を被った般若なのだ。
だから休日は思う存分1人カラオケをする事に決めている。サンボマスターを思いっきり叫んで歌ってやるんだ。
手を取り合って
上司は淡々と仕事をこなす人だ。
沢山の仕事を請け負っていて、いつも忙しそうにしているが故に話す機会があまり無い。
今日も忙しそうだ。こちらにも何か仕事を振ってくれればいいのに。
きっと自分でやる方が早いと思っているのだろう。
…まぁ、実際そうなんだろうけど。
上司は怒る事があまり無い人で、まるで怒ることは非効率。そんな暇があったら仕事。という考えが透けて見える程に淡々としている。
仕事が早くて私の出る幕は全く無し。
差し詰め私は社内ニートといったところか。
今日も少ない仕事をゆーっくりこなし、半日で終わらせ、午後は机に座ってぼーっとするだけ。
最初は自分が惨めに思えたけれど、それは自分の気の持ちようで、上司が気にしていないなら私はこれでいいんだ。と、折り合いをつける事で自分を納得させた。
このままこの状態が続くのか否かは分からない。
ただ、今のところは手を取り合っている未来は見えないかな。
日常
今日は金曜日。やっと明日休みだー。
仕事帰りに買い物を済ませて、土日は家でゆっくり過ごそう。
私はハンドルを握り、土日をどうやって過ごすか考えながら、時折ラジオに耳を傾け、会社へ向かって車を走らせていた。
前を走っているのは大きなトラック。何羽ものニワトリが檻のような、籠のような物に入っている。おそらく、出荷途中なのだろう。たまに抜け落ちた羽毛が風に舞って飛ぶので、私は桜の花びらみたいだな。と思いながら後ろを走った。
はぁ、会社に行きたくないなー。
これが人間から見たなんて事のない日常風景。