お題:冬のはじまり
冬の空気が好きだ。
雪が降ると世界が静かになる。
少し空気が硬くなったような、ピンと張り詰めた気配。
あの気配を雪が降ってないときも多少感じるようになった。
先日、今年初めてその空気を感じた。
あ、冬が来た。
そう思った。
お題:秋晴れ
秋の空 清かな山嶺 ひと心地
(ふっと一息いつも見えてる山のシルエットが今日はなんだかシャープで清々しいなぁ)
お題:束の間の休息
お気に入りの文庫本と豆から挽いた濃いめのブラックコーヒー。それだけでいい。
最近は老眼鏡も。
お題:星座
「ねえ、あの星座知ってる?」
そう言って彼女が指差した先に星はなかった。
彼女と出会ったのは五年前、バイト先の先輩だった。理知的で僕にないものをいくつも持っていた彼女に惹かれるまでそう時間はかからなかった。彼女は休憩中いつも本を読んでいた。その伏した目、知的な横顔から目が離せなかった。
彼女はいろんなことを知っていて、話題は多岐にわたった。本で読んだ話をそれはもう楽しそうに語るのだ。僕は彼女との会話についていくのに必死だった。全ての知識を総動員してもまるで足りなかった。今まであまり学ばずに生きてきたことをひどく後悔した。
彼女の前では知らないことを知らないと言えず知っているふりをしたりもした。時には出まかせを言ったり時には話題を変えたりあの手この手で自分の無知を隠し通した。
今思えば、聡明な彼女にそんな手が通じるはずもなかった。
あの時もあわてて話題を変えた時だった。彼女は少しだけ悲しそうな顔をして微笑んだ。
「知らなくても、大丈夫、だよ?」
僕は恥ずかしさでいたたまれなくなった。
「ごめん……」
「……ううん、違うの」
違う?何が??
「もっと、聞かせてほしいの」
「…え?」
意を決した彼女の口から放たれたのは意外な言葉だった。
「キミの話すことって楽しくて奇想天外でどんな事実より輝いてる。口下手な私をいつも精一杯楽しませようとしてくれてる。キミの話が私の世界を色鮮やかに変えてくれる。見たこともない世界に連れて行ってくれる。だから、もっとキミの話を聞かせてください!」
真っ赤な彼女と激しく動揺する僕。
ほどなくして二人はどちらからともなく笑い合った。
「ねえ、あの星座知ってる?」
彼女が空想の星を指差す。
僕は笑顔で答える。
「ああ、あれはね——」
お題:踊りませんか?
月落ちて 赤らむ君と 星の舞