お題:巡り会えたら
彼女とは本当に運命的な出会いだった。
まさに文字通り住む世界が違う二人。その二人が出会うなんて通常ではあり得ないことだった。だけども偶然に偶然が重なり、突然に出会ってしまった。
なのに……
あとほんの少しの勇気があれば……
いつもそう。肝心なとこで必ず尻込んでしまう。この性格のせいでいつも失敗してきた。
もう一度巡り会えたら。今度こそ。
奇跡よもう一度。
(2日分)
お題:たそがれ
昨日のお題の傑作が
投稿前に時間切れ
黄昏時にたそがれました
お題:静寂に包まれた部屋
メトロノームの音を聴き続けたら頭がおかしくなるとも、落ち着くとも聞く。はたしてどちらなのだろう。金ならいくらでもある。自分で検証してみることにした。
メトロノームの音以外が鳴らないように環境を整備する。まずは無音室だ。それから、しばらく連絡できない旨を周囲に伝え携帯の電源を切った。そして、音の鳴らない暇つぶし——主に漫画——を大量に用意する。食糧は保存の効くものを買い込んだ。全ての準備を整え、さあ始めようと思ったとき針の速度をどうするのかでしばし悩んだ。心拍数に合わせるべきか。結局のところ合わせれば落ち着くし、合わせなければおかしくなるのではないのか?私は二度検証することも視野に入れつつ、まずは心拍数に合わせることにした。
カチ、カチ、カチ、チーン……
初めはそんなに気にならなかった。いつもより多少は読む速度が落ちたか。その程度だ。漫画を読んだり瞑想したり普段は時間に追われてあまりできなかった……いや、なんだかんだ言い訳してやらなかったことを満喫した。
カチ、カチ、カチ、チーン……
検証2日、3日と進むにつれ、徐々に気にならなくなってきた。それどころか、妙に落ち着いた気分だ。読速も通常時と変わらなくなった。むしろ何もしない生活の方に罪悪感があったがそれも次第に慣れた。
カチ、カチ、カチ、チーン……
検証1週間から先はほぼ同じだった。落ち着くリズム。ページをめくる動作に限らず生活の全てが一定のリズムを保っていた。何かに気を取られることもなくなり、検証前より確実に集中できている。満足のいく結果が出たので、検証1ヶ月でひとまずは終えることにした。
やはり当初の予想は当たっていたのだ。心拍数に合わせたから落ち着く結果となったのだろう。私は一度針を止め、次の検証の準備を始めた。
カチ、カチ、カチ、チーン……
——ん?
確かに針を止めたはずなのに音が鳴り止まない。…幻聴だ!私は予定を変更し、幻聴がいつまで続くのか、心地よさはどう変わるのか、追加検証をすることにした。
カチ、カチ、カチ、チーン……
不思議なことに今度は徐々に落ち着かなくなってきた。あんなに心地よかったリズムが段々と不快に変わってくる。今考えてみればおそらく前回の検証はいつでも止められるという心の余裕があったのだ。片や今回はいつ終わるともわからない幻聴だ。不安にもなる。病院に行くべきか?どう説明する?もう少し様子を見ればおさまるかもしれない。もう少し。
カチ、カチ、カチ、チーン……
数日が過ぎた。数時間かもしれない。わからない。音が止まらない。漫画なんてとても読めない。食事もいつから食べてないかわからない。不安で仕方がない。
うるさい!もう止めてくれ…!お願いだ……。何故止まらないんだ!止まれー!私は極度の緊張で嘔吐し、大きな声を出すのを我慢できなくなり、終いにはベッドでのたうち回り泣きじゃくっていた。それでも音は鳴り続ける。
カチ、カチ、カチ、チーン……
そして私はついに悟った。これは鼓動だ。私の鼓動が鳴らしているのだ……。
数分後、部屋は静寂に包まれた。
お題:通り雨
二つ思いついたので二つとも
1.
いつからだろう
通り雨はゲリラ豪雨になった
神様の涙腺もゆるくなっちゃったかな?
2.
昔から雨が好きだった。
アスファルトの匂いが、涼しげな空気が、静まる街角が、なぜだか心地よかった。
まるで自分だけの世界のような晴れ晴れとした気持ちになった。
お題:秋
「秋めく」という言葉がある。
ちいさい秋みつけた、ってやつだ。
ただ見つけるだけではなく、その感情をも包括している。
暑い夏から涼しげな秋へと変わる嬉しくも寂しい複雑な感情を。
先達はそれを言葉にしたくなったんだろうなぁ。