波音に耳を澄ませて
僕は今日告白する!
覚悟は決めた、今日のデートは3回目
1回目は映画で、2回目はショッピング
そして今日は水族館
ここまでは完璧だ
このあとはイルカショーをみて水族館をでて
そして夕焼けが照らす中、海辺で告白するんだ!
そんな考え事をしてたらイルカショーも終わってしまった
ショーではなく隣のあの子のはしゃぐ姿しか記憶にはないが
さぁ水族館をでた
海辺に向かって歩き出す
夕日がいい感じに眩しい
言うぞ!言うぞ!言うんだ!!
「あのさ、」
「どうしたの?」
「ずっと前から好きでした!付き合ってください!」
完璧な状況にシンプルで直球な告白
これほどのものはないと思った
完璧だったんだ
彼女からの返答以外は
「う〜ん、ごめんなさい。◯◯君のことは友達としては好きなんだけど、恋愛って感じじゃないんだよね」
続けて言う
「でも私が恋愛に今興味がないってだけでいい人だとは思うから私よりいい人が見つかると思うよ!」
「ごめんね」
謝らないでくれ!励まさないでくれ!
「そっか、ありがとう」
せめて最後までかっこよくいたかった
彼女のことを帰るまで送るのが紳士なのかもしれないが今日は置いていってもらった
今はただ、波の音に耳を澄ませよう
僕の心の泣く声を、少しでも聞かないために
青い風
「なんか風が青い感じがするね」
「そうだね」
何を言っているのかを理解する前に返事をしてしまった
風が青いってどういうことだろう
君の豊かな感性にはどうも追いつけない
風に色なんてあるわけないだろ
だって風ってのは空気の流れなわけで、空気っていうのは無色で…
違うよな、君が言いたいのはそういうことじゃないってとこまでは分かるんだ
青い風ってなんだろう
まぁいいか、いつかわかるさ
そのまま2人で話しながら歩く
歩きにくい砂の上、声に混ざる波の音、そして君の優しい笑顔に思考なんてする暇もないとき、眩しい光とともに強い風が水を運んだ
砂浜、白波、君の横顔
僕らを横切るその風は
なんだか青く見えたんだ
遠くへ行きたい
大好きな彼女に会いに行きたい
彼女に会えるならどこへでも行ける
(後で完成したら別の文にします)
クリスタル
あぁ美しい
艶めく髪に、煌めく瞳、眩しい笑顔に、優しい声、可憐な背格好、何をするにも美しい所作
何もかもが美しい貴方は出会う者皆を魅了する
まるで輝く宝石のような君を見つめて、つい考えてしまう
僕はなんて個性がないのだろう
綺麗でもなければ醜くもないし、表情はまぁ良くも悪くも全部でる、瞳は綺麗な方かもな、声は好きじゃない、姿勢はちょっぴり猫背で、所作は最低限しか気にしてない
素直で隠さないけど晒しきらない透明と不透明との中間のような存在
君と比べるのもおこがましい
ある夜、コンビニ帰りに君を見かけた
月の光に照らされる君は一段と美しい
君は走る足を止めて僕に話しかけた
他愛のない会話をしたあとまた君は走り始めた
他愛のない会話を思い出して脳内で何度も繰り返す
幸せな帰り道、ふと気づいた
なぜ彼女はランニングをしていたのか
背格好だって所作だって彼女は努力していたんだ
当たり前なことに今更気づく
全部そうだ
宝石のような彼女はどこまでも宝石のようであった
削って磨いて削って磨いて理想を目指して努力をしていたのだ
おこがましいと逃げるのはやめよう
透明と不透明の間、曖昧な僕
せめて透明になろう
強い色がなくても、綺麗な造形じゃなくてもいい
粗は削って、素を磨いて
僕は目指そう、僕なりの水晶を
夏の匂い
忘れることないあの匂い
暑さに湿気に柑橘と君の照れくさい返事が混ざった忘れたくても忘れない僕を奪ったあの匂い