恋するひまんちゅ

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クリスタル


あぁ美しい

艶めく髪に、煌めく瞳、眩しい笑顔に、優しい声、可憐な背格好、何をするにも美しい所作
何もかもが美しい貴方は出会う者皆を魅了する
まるで輝く宝石のような君を見つめて、つい考えてしまう
僕はなんて個性がないのだろう
綺麗でもなければ醜くもないし、表情はまぁ良くも悪くも全部でる、瞳は綺麗な方かもな、声は好きじゃない、姿勢はちょっぴり猫背で、所作は最低限しか気にしてない
素直で隠さないけど晒しきらない透明と不透明との中間のような存在
君と比べるのもおこがましい

ある夜、コンビニ帰りに君を見かけた
月の光に照らされる君は一段と美しい
君は走る足を止めて僕に話しかけた
他愛のない会話をしたあとまた君は走り始めた
他愛のない会話を思い出して脳内で何度も繰り返す
幸せな帰り道、ふと気づいた
なぜ彼女はランニングをしていたのか
背格好だって所作だって彼女は努力していたんだ
当たり前なことに今更気づく
全部そうだ
宝石のような彼女はどこまでも宝石のようであった
削って磨いて削って磨いて理想を目指して努力をしていたのだ
おこがましいと逃げるのはやめよう
透明と不透明の間、曖昧な僕
せめて透明になろう
強い色がなくても、綺麗な造形じゃなくてもいい
粗は削って、素を磨いて
僕は目指そう、僕なりの水晶を

7/2/2025, 1:20:33 PM