あの日の温もり
あの日のたい焼き、
あの日のぜんざい、
あの日のちゃんちゃんこ、
あの日のおじや、
思いだされるあの日の記憶
あの日の言葉
あの日の涙
あの日のハグ
心に温もりを伝えるものよ
時が経っても、なお冷めない温もり
祖父の小さな黒い手帳には
365日の天気と気温
が記されている
それを知ったのは小学生のある夏の終わり
宿題を持って祖父の家に行った
夏休みの友には毎日の天気を記すページがあり
幾つもの空欄を見た祖父は
黒い手帳を取り出して教えてくれたのだ
それから数十年後、、
祖父が来る年も来る年も
天気と気温を記録していたこと
それは畑仕事のためだったと知る
気象の記録だけではない、
いついつ、何の種を蒔き、
いつ、間引き、肥やしをしたかといった
作業の記録だったのだ。
次の年、次の年の畑仕事のために。
毎年いただいてた美味しいお野菜は
こうした記録によっても作られていたのだと知り
今は伝えられない 感謝の気持ちで
胸が熱くなる
人生の大先輩
自然が好きで
あの雲、何に見える?とか
こんなかわいい虫がいたよ!とか
そんな話をする時は
まるで友のように。
あの日の電話、思い出す。
外に出て見て!虹が出てるよ!
うれしかったな。
「あなたは だれ?」
大きくなったら、お花屋さんになりたい
大きくなったら、本を作る人になりたい
と言っていた6歳のわたしに
タイムスリップして出会ったなら、
そう、尋ねられるだろうか。
今の私は、
6歳のころ、12歳のころ、20歳のころに
思っていた 未来のわたし、とは違う。
幼いときに夢見ていた仕事はしてない。
20歳のころ、もっとできるはず!
と期待していたような体力も能力もなかった。
背伸びしていたときには隠れていた、
見せたくない自分が前に出てくることもある。
そんな今を好きになれない時もあった。
だけど
今年の初め
カメラ好きの父が何気なく撮った、
私の笑った顔。
ノーメイクで、パジャマ姿で、
母と喋っている時の顔。
子どもの時の顔と、何にも変わってなかった。
もちろんシミやそばかすはあるけれど。
でも、変わってなかった。
その写真に映った
無防備な自分をなぜだろうか、大切に思えた。
そう思えるのは、
今がしあわせだからなんだろう
ー ありのままを受け入れて、17年、
一緒に歩いて来てくれたパートナー。
おかげで
葛藤もあったけど、
両親が私を愛し育ててくれたことが分かる
ようになった
ー 楽しいも悲しいも共有しながら
新しい価値観を教えてくれる友もいる。
問題がないわけではない、
いわいる、理想の暮らしを
送っているわけではないかもしれない。
でも、 人生の宝をいただいて生きている!
今なら最初の質問に、
「はじめまして。未来のあなたです。」と
笑顔で挨拶できるだろう。
落ち込んだときに思い出すと
自分のこと、ちょっと好きになれる言葉。
幼稚園の先生が卒園式でくれたお手紙。
大人になるほどに、
先生がどれほど私を見て
理解してくださっていたかが分かります。
きっと、6歳の私にも分かる言葉で、
もっと大きくなった私にも宛てて
書いてくださったのですね。
手紙を取り出さなくても、思い出せます。
先生の優しいお気持ちは、
しっかり私の心へ届いています。