#9 嵐が来ようとも
[贈り物]
嵐が来た。
今そこにあったものが壊された。
ああ、またいつもの展開だ。
仕方ない。命があっての物種だ。
次はもっと工夫してみよう。
嵐が来た。
当たり前のことができなくなった。
当たり前は、既に過去となった。
今を起点に考え直そう。
悩み過ぎて、深刻にならないように。
焦らずゆっくり前に進もう。
嵐が来た。
それは神様からの贈り物。
逃げたっていい。
乗り越えられなくてもいい。
やればわかる。
#8 お祭り
[例祭]
それは、神社にとって最も重要な祭祀。
お囃子に合わせ、巫女による神楽が奉納される。
宮司が始まりを告げると、
雑音は消え、風にたゆたう木々の音が木霊する。
縦笛の音に合わせ、巫女舞が始まる。
巫女の動きに合わせ、大地に澄んだ気が流れる。
流れる気に合わせ、人々は気を新たにする。
なるほど。なぜ神事が大事にされているか、
あいわかった。
#7 神様が舞い降りてきて、こう言った。
[神一重]
幼い時、夢の中でねこバスをみた。
あのバスに乗れば、三途の川を渡れる。
何故だか乗りたくて仕方がない衝動に駆られた。
そっちにいってはダメ!
もうすぐ乗れる!と想った瞬間、
大きな御婆様のような声に引っ張られて、
目が覚めた。
それ以降、なぜか絶望的にみえる現実に
負けなくなった。
#6 誰かの為になるならば
[自分を忘れよう]
自分のために、
自分に出来る最大限の努力をしよう。
安全のために、
極端な行動は避けよう。
家族のために、
ご先祖様に感謝しよう。
友人のために、
自分の悪いところを抑えるようにしよう。
社会のために、
苦しんでいる人を見捨てないようにしよう。
自然のために、
地球に感謝しよう。
誰かの為に、
自分を忘れよう。
#5 鳥籠
[鳥籠の中の鳥]
子供は、無力だ。
1人で出来ることなど、たかが知れている。
先生は言った。
あとは、先生が何とかしておくから。
学校内は、みえない鳥籠が学生を守ってくれる。
親は言った。
貴方を養っているのは誰?
貴方は働いていないでしょ?
家庭内は、みえない鳥籠で子供を取り囲む。
鳥籠の中の鳥は、どちらにも適応できる鳥が
どんな姿なのか、一向にわからぬまま、今日も
心を悩ませる。
[籠の中の鳥は羽ばたく]
ある時、籠の中の鳥は気づく。
実は、鳥籠の柵をはめていたのは自分だ。
自分は無力だと、自ら諦めてしまったのだ。
例え、見える世界に恐ろしい柵があっても、
心に響かせなければ、心は自由だ。
自分は、見える世界に騙されているだけだった。
カチャ。柵のドアは、開かれた。