匿名

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6/19/2024, 8:45:26 AM

君がワイングラスから手を滑らせた。
スローモーションのように、
それはまっすぐに落下して、
儚く砕け散って、音を響かせて、
広がっていく液体は、君の匂いがして。
それに目を向けた君は、どこか遠くを見ているようで。
こんな風に終わっていくのかなと、考える。

テーマ 落下

6/14/2024, 7:03:21 AM

あじさいの花は、いくつもが集まって、それでひとつの「あじさい」という感じがするけれど。
それぞれの花が少しずつ違う色で、違う形で咲く。
繋がりあっているようで、
同じように生きているようで。
それでも、ひとつひとつの花だ。

テーマ あじさい

6/7/2024, 2:07:03 AM

「最悪、教科書忘れちゃった」
私が見せてあげるから。
「最悪、絶対前髪切りすぎた」
そんなことない。可愛いよ。
「最悪、こんなんじゃ彼に嫌われちゃう…」
…私が、そばにいるのに。
「最悪…もう死にたい」
だめだよ。君がいなくなったら、私は。

すっかり君の口癖になっているそれは、私なんかじゃ消えない。消せない。
それでも、私が、君を守るから。
最悪な思いなんて、させないから。

テーマ 最悪

6/6/2024, 9:37:56 AM

二年前のあの日、私が貴方に出会ったこと。
貴方の影さえも、強く輝いているように見えたこと。
モノクロだった世界が、色づいていったこと。
一年前のあの日、貴方はあの子と手を繋いで、海辺を二人で歩いてた。
その影を、引き裂きたいと思ったこと。
貴方色だった世界が、黒く染まっていったこと。
その日私が、胸にしまっていた言の葉を、
細かく噛みちぎって飲み込んだこと。
恋の味を、知ったこと。
今この瞬間、幸せになってねと、願っていること。

誰にも言えない、私だけの秘密だ。


テーマ 誰にも言えない秘密

6/5/2024, 8:13:44 AM

狭い部屋で僕は一人、外を眺める。
電灯一つ無いこの部屋を照らすのは、外の光だけだ。
何かしたいけれどすることもないから、
ただ、ずっと外の世界に憧れている。
誰かが訪ねてくるわけでもないのに、
ただ、ずっと誰かを待っている。
外の世界の裏側を知るのは怖くて、
自分から誰かに会いに行くのは恐くて、
閉じこもって。動けなくなって。
それでも、外の世界は、
この部屋を照らし続けるのだった。

テーマ 狭い部屋

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