薄い桃色の花々が、いつしか私を包んでいた。
いつか貴方がくれた花。その花びらを、私は撫でた。
淡い青色の海と空が、私の前に広がっていた。
いつか貴方と見た景色。私は遠くへ手を伸ばした。
ここは私の楽園で、貴方との思い出で溢れる場所。
でも、それなのにどうしてか、貴方だけがいない場所。
甘い暖かい春風が、私の背中を押していた。
貴方の匂いがした気がして、私は後ろを振り返る。
テーマ 楽園
「何となく」なんて理由で夜中に家を出ても何も言われなくなったのは、いつからだろうか。
この満天の星空を見ても何も感じられなくなったのは、いつからだろうか。
手を伸ばせば、幾らかは掴めると思っていたのに。
上を見上げれば、いつかは届くと信じていたのに。
いつか、私が星に願ったこと。
なぜか思い出して、意味もなくそれを呟いてみる。
目の前を流れ星が、ぱっと輝いて消えていったような気がした。
テーマ 流れ星に願いを
僕は僕にルールを課した。
君のことを考えてはならない。
君の近くに行ってはならない。
君と話してはならない。
君と目を合わせてはならない。
君を、君のことを忘れる。忘れなくてはならない。
…忘れなくては、ならない、のに。
テーマ ルール
今日の夕飯はなんだろうか。
帰ったらテレビでも見ようか。
みんなに嫌われてないだろうか。
今日はうまく話せていたかな。
窓際に座るあの子が、頬杖をついている。
あの子と話してみたい。その頬に触れたい。
あの子が好き。
あの子が、好き。
今日も心は、ぐるぐるぐる。
テーマ 今日の心模様
君の、
柔らかい眉や、
厚い唇の動きや、
緩やかに下がった目尻や、
長く直線的なまつ毛や、
ふわりと揺れる髪の毛や、
胸の膨らみや、
白く滑らかな手の甲を、私は見ていた。
その手に触れて笑いかけるあの人と、
少し下を向いて はにかんだ君を、私は見ていた。
この気持ちが、たとえ間違いだったとしても、
私は君を待ち続ける。
テーマ たとえ間違いだったとしても