『記憶』
それは深海 暗黒の世界
それは図書館 膨大な書棚
それは太陽 絶対のパワー
それは三日月 まやかしの姿
それはラブレター 過去からの手紙
それは両親 優しさのすべて
それは大辞典 誇るべき味方
それは暴君 ハイジャック犯か?
記憶喪失 ドラマじゃ人気
それほど記憶は 大切なんだ
認知症でも ゼロにはならない
眠って起きない だけだと聞いた
たかが記憶か されど記憶か
やっぱり記憶は 生きてる証明
それは親友 一生の付き合い
それは全世界 私の宇宙
『もう二度と』
わざと家と家のブロック塀の
すき間に入ってみたけれど
冒険よりも犯罪に近い
子供の頃は楽しかったのに…
公衆電話のおつりの中や
自販機の底も夢の場所
玄関に座って両親を待った
どんなに待っても今は帰らない
「大きくなったら何になるの?」って
とっくに誰にも聞かれない
体臭やくせ毛や歯並び、顔で
死のうと思って怒られたっけ
宿題なんかはまっぴらだけど
いじめは今なら戦える
ばばあに見えてた中学生が
あまりに幼く、歳を感じてる
受験なんかはまっぴらだけど
部活はやりたい悔いがある
初恋の人はどうしてるだろう
もう二度と、見ない
余命を、生きてく
『曇り』
曇り 曇り 雲って見えない
青空が 太陽が 月が見えない
曇り 曇り 雨は降ってない
幸運か 残念か ぼくはどっちか?
曇り 曇り それは未来か
急変で 変わるのも いつものことさ
曇り 曇り すこし透けてる
隙間から 見えるのは 希望か絶望か
曇り 曇り まるで邪魔者
きみなのか? ぼくなのか? 教えて欲しい
曇り 曇り ポツンと一滴
泣いているなら なぐさめようか
そして…流れる
『bye bye...』
卒業する前 計画してた
バイトも増やして お金を貯めた
みんなで旅行 おもいで作り
ディズニーだけは はずせない
飲み食いはしゃいで しっかり太って
カラオケ歌って ダンスも踊る
どうしてこんなに バカなんだろう
素のまま私が 居れる場所
新たな舞台に 戦いに行く
四月になったら bye byeしちゃう
それでも約束 ゴールデンウィーク
報告し合うの 集まって
アオハルなんて 私は言わない
真っ赤に燃えてた 真夏の時間
利口な大人に なってくだろう
また会う約束 それが、bye bye...
『君と見た景色』
ツタの絡まる球場に
電車で行くのは遠かった
古い鉄さびとコンクリート
地方訛りの観客たち
次の試合の選手だろうか
大きな体に後ずさる
いちばん安いチケットを買い
高校野球を初めて観た
ラヂオを聴いてる人もいた
遠くて選手は米粒だ
座る席へと大飛球が来て
その日一番興奮した
あれから何年立ったのだろう
選手は今では名球会
記録も記憶も塗り替えられて
それでも君と見た景色
数年振りかに甲子園
センバツ行こうと思ってる
大谷さんしか知らぬ孫を連れ
あの日の君と見た景色