「旅路の果てに」
あなたは何を求めますか?
この旅の終わり
その終着点に行き着いた時
あなたは何を想いますか?
旅の出来事を全て忘れて一般人に戻る?
確かにそれも一興ですね
ですが、あなたが望んでいるのは
永遠に終わらない物語では?
そうすればほら、あなたの愛しい人とも共に居られる。
物語の中ならあなたは永遠に生き続け、
永遠に主役でいられる。
ほらこの手を取って
まだ、旅は続くのですから
「海の底」
海の底には神様がいる。
ゆらゆら美しい、女神さまがいる。
でも安易に近づかないで。
女神さまは一人孤独な檻でお休み中。
彼女の眠りは邪魔出来ない。
おやすみ女神さま。また今度。
あなたは決して目覚めない。
あなたは決して再会出来ない。
貴女の愛した王子様。
泡沫となって消えていく。
また王子が来る未来まで、あなたは決して、
出られない。
「空白」
友人と交換日記をする事になった。
高校生にもなって、
とも思ったが、案外悪くはなかった。
ある日、友人の日記を見た。
空白だった。
1ページが埋まりそうなぐらい、びっしりと書いていた彼が。
2、3行で終わらせているのがどうも気にかかった。
やる気でもなくしたのか、
俺は友人にそう聞いた。
友人は泣き崩れて、叫んだ。
最近事故にあった事。
後遺症が残って、記憶力が低下した事。
友人は、「どうせこの事も忘れる」と言った。
空白のように記憶が無くなると言う。
完治は難しいらしい。
お互い、交換日記はもう難しいだろうと分かっていた。
だけど、俺は無理を言って続けた。
友人の思い出を、記録を、記憶を、
俺だけは忘れたくなかった。
x月xx日
友人が死んだ。
葬式には行かなかった。
死因も聞かなかった。
友人の死に関しては絶対に聞かなかった。
この日記はこんなことを書くために始めたものじゃない。
ああ、けど。
この日記はもう交換日記じゃなくなってしまった。