未完

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「空白」
友人と交換日記をする事になった。
高校生にもなって、
とも思ったが、案外悪くはなかった。
ある日、友人の日記を見た。
空白だった。
1ページが埋まりそうなぐらい、びっしりと書いていた彼が。
2、3行で終わらせているのがどうも気にかかった。
やる気でもなくしたのか、
俺は友人にそう聞いた。
友人は泣き崩れて、叫んだ。
最近事故にあった事。
後遺症が残って、記憶力が低下した事。
友人は、「どうせこの事も忘れる」と言った。
空白のように記憶が無くなると言う。
完治は難しいらしい。
お互い、交換日記はもう難しいだろうと分かっていた。
だけど、俺は無理を言って続けた。
友人の思い出を、記録を、記憶を、
俺だけは忘れたくなかった。

x月xx日
友人が死んだ。
葬式には行かなかった。
死因も聞かなかった。
友人の死に関しては絶対に聞かなかった。
この日記はこんなことを書くために始めたものじゃない。
ああ、けど。
この日記はもう交換日記じゃなくなってしまった。

9/14/2025, 2:14:17 AM