『春風とともに』
行ってみたいな、春風とともに。
あの子と遊んだ野原まで。
そして、土の下のツクシの子らを
「もう、春だよ」と起こしてあげるの。
行ってみたいな、春風とともに。
あの子と歩いた桜並木まで。
そして、舞い散る桜の花と
くるくる回ってダンスをするの。
行ってみたいな、春風とともに。
遠く離れたあの子の町まで。
お土産のツクシと桜の花びらを持って。
そうしたら、きっと、あの日のように
一緒に遊べる気がするから。
『涙』
お日様が、不意にかげって
ほろり、と
こぼれたお空の涙。
受け止めたのは、
小さな野原。
「元気を出して」と、
お空に向かって、野原いっぱいのお花が咲いた。
表情が、不意にかげって
ほろり、と
こぼれたキミの涙。
受け止めたは
小さな手。
「元気を出して」と、
キミに向かって、せいいっぱいの笑顔を咲かそう。
『小さな幸せ』
冷蔵庫にこっそり隠してる
ちょっとお高いアイスクリーム。
「今日のわたしは、がんばったもの!」
って言いながら
独り占めして、食べちゃうの。
これがわたしの、小さな幸せ。
冷蔵庫にこっそり隠してる
ちょっとお高いアイスクリーム。
「仕方ないなぁ、特別よ!」
って言いながら
キミと半分こで、食べちゃうの。
これがわたしの、小さな、特別な、幸せ。
『春爛漫』
見上げた視界いっぱいに、
桜の花びらと、光のカケラが
舞っていた。
独り占めするのがもったいなくて
スマホをかざしてみたけれど、
残念ながら
キミへのお土産にしたかったものは
カメラじゃ収まらないらしい。
ならば、と僕は
両手を広げて深呼吸する。
「今度、一緒に見に行こう」と
キミを誘う僕の声に
少しでもこの春のカケラが染み込むように。
『七色』
海の向こうのお国では
虹は三色なんだって。
さらに砂漠を渡った先のお国では
虹は四色なんだって。
そのまた向こうのお国では
虹は八色なんだって。
私のお国では、虹は七色なのだけど。
三色の虹や八色の虹を見つけることができる心が
私は欲しい。
きっと、どのお国の虹も美しいだろうから。