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4/9/2024, 1:09:56 PM

誰よりも、ずっと…

 最近彼女の様子がおかしい。つい最近昼食デートをしたが顔が痩け、皺がたくさんだった。なんなら、手なんて特に。あと一か月で俺の誕生日だ。「体調に気をつけてね」と一言だけだがメールを送信した。
誕生日当日になっても彼女からの返信はない。あの日からほぼ毎日メールを送っている。自分に冷めたのだろうか?でも今日は、相手がもし自分に気がなくなってしまっていてもプロポーズをする。準備は万全だ。彼女の家に合鍵を使って入る…誰もいなかった。ただ、テーブルに箱と手紙があるだけだった。嫌な予感がした。
手紙を開く
「覚えてますか?私達が出逢った場所は、図書館。
たまたま同じ本をとったのがきっかけで、知り合ったよね。その日から私達はたびたび図書館で会うようになったね。それから私達は、自分の好きな本の話や趣味、好きなものなどの他愛もない会話を繰り返すうちにお互いに惹かれ合ってお付き合いを始めた。お付き合いを始めて9ヶ月。幸せな日々を過ごしています。あと、3ヶ月すると1年記念日とあなたの誕生日です。あなたの誕生日にプレゼントと手紙を渡そう。そう思って、私はレターセットを取りだし書き始めました。途中でどんなことを書こうかと迷いふと手を見たら、おばあちゃんのように手に皺がすごかった。最近、ハンドクリーム塗ってないからかな?。私はのんきに、手にハンドクリームを塗った。先のことなんてまだ知らなかった。
今日は少しだけあなたに時間ができたらしく外で昼食をとる約束をした。嬉しかった。あなたとのデートは久々だ。体調を崩していないだろうか、心配が勝ってしまう。彼は風邪を引きやすい。そんなことを考えながら化粧をしようと鏡をみる。顔が老けているように見える。彼と私は5歳差で彼のほうが年上なのに自分の方が10年くらい老いてみえる。急に不安になってきた。だが、あなたとのデートには行きたい。昼食が終わったら、病院に行こう。そんな風に思った。
昼食中、あなたは目を全然合わせてくれなかった。いつもより何かぎこちない動きだったり、チラチラと私の方を見るだけだった。そんなことを考えていたら、診察室から声がかかった…
私は病気みたいだ。涙も止まらない余命まで宣告されてしまった。私はファストフォワード症候群という病気らしい。他の人より何倍もはやく歳をとってしまう病気だ。早くも、明日から病院生活らしい。あなたには、会いたくない。いや、もう会えない。だって次会う約束をしたのは彼の誕生日だから。その頃にはもう私はこの世にいない。連絡先も消すね。だから最後に、あなたに伝えたいことは誰よりも、ずっと特別で大好きだよ。風邪ひかないでね。」
俺は、嗚咽と涙が溢れて止まらなかった。彼女がくれた手紙の横には、手編みのマフラーが箱に入ってあった。

4/8/2024, 1:58:16 PM

君はとても可愛い。あの暖かく心地の良い風とともに桜の花びらが散り始める頃、僕は君を駅のホームで見かけた。キレイな横顔、サラサラとなびく黒髪、僕の胸あたりくらいの身長、きれいな黒い瞳。僕と目が合うとにこっと微笑む姿…僕も顔が緊張で引きづらないように頑張って微笑んでみた。うまく出来たかな?。僕を見て、急に目をそらす君。そんな君に僕は一目惚れした。
その日から僕は毎日、早寝早起きをして君に会えた時刻と同じ時間に家をでる。いつも、寝坊しがちな僕が好きな子のために早く起きる。人を好きになることは素晴らしい。そんな毎日を過ごしていた。
でも、数週間たったある日君はこわそうな男の人と一緒にいた。君とそいつは同じ制服だった。だけど、君は怯えているように思えた。男の方はずっと周りを見ている。朝から気持ちが悪い。だから、僕は決めたんだ。そいつから君を守ると。僕は、今日君の後をつけた。学校に登校したのを見送ると、近くの喫茶店で暇を潰したり本屋に行って本を見たりして君が下校するのを待っていた。時刻は過ぎ、校門から君が出るとこを見た僕は急いで後をつけた。帰りは、あいつがいないみたいだ。でも、君は何かに怯えているように肩を縮こませながら小走りだ。僕は、君を困らせている不審者から守りたい。急いで、追いかけていたら君の家の前だった。ひとり暮らしのマンション住まいみたいだ。僕は決めた。次の日から荷造りをかるくして君の家に向かった。インターホンは鳴らさなかった。君がびっくりしちゃうから、とりあえず扉を引いてみた。君はおっちょこちょいだ…ドアが開いてる。家に入ると鼻歌が風呂場からきこえた。急いで僕は、トイレの天井にある、四角い扉を開けて中に入った。今日は、ここにしよう…
君と一緒に生活をし初めて、もう雪が降る季節になった。ここ最近は、冷え込むので風呂場の天井の扉の中に居る。君がお風呂に入るときに少しだけ、扉を開ける。君が頭を洗う。君と目が合う。君の上目遣いはたまらない。君は驚いて、体が震える。大きく口を開けて「きゃぁ…」。危なかった。君がびっくりしすぎて奇声をあげようとしたから、上から、紐を輪っかにして少しずつ落とした。君の首は引っかかった。君は倒れた。とりあえず、風呂場から出て君に服を着せた。ついでにご飯も作った。でも、君は起きない。疲れたのかな?今日は寝よう。「おやすみ」そう言って、君の頬にキスをした。冷たかった…
それから僕は毎日君のお世話をした。日に日に変な臭いが君からするけれど、一緒にお風呂に入って体を洗ってあげる。
これからも、ずっと僕は君と過ごすんだ。一緒に暮らすんだ。だって、君は僕に初めて微笑んでくれた唯一の女の子だから。