『星明かり』
濃紺の深く遠い空の彼方に
輝くグレープフルーツの香りの
甘い金平糖が散らばっているから
ひとつ取ってきてあげよう
本当じゃないけど
嘘でもないよ
ひとりだけど
ひとりじゃないよ
この光の下でだったら
きっと素直になれるから
明日には忘れるような
デタラメな話をして
今だけの呼吸をしよう
誰かに語りかけるように
私は空に手を伸ばす
『静かな情熱』
いつも飄々として
時に堂々として
何事にも動じない
そんなあなたが
最初は少し怖かった
だけどあなたを知って
夢を語る瞳の強さを見て
本当のあなたの熱さを知った
あなたは魔法瓶のように
表面はひやりと冷たいけれど
内側に静かな情熱を持っていた
だから、あなたを好きになった
『春恋』
私に似合う花を尋ねたら
鈴蘭だと君は答えた
毒のある植物だと教えたら
「だからだよ」と答えた
君は正しく私を知って
私は君を知りたいと思った
そんな一瞬の恋に
出逢ってしまった春
『ひとひら』
ひらり
ふわ
ふぁ
はらり
ふぁり
ひら
ひらり
儚く美しい花びらがひとひら
ひらりと飛んでどこへいく?
きっと、もっと自由な場所へ
遠く遠くどこまでも
『夢へ』
世界と人の美しさを知って
不平等さと醜さも知った
色んなものを吸い込んだ
この濁った瞳では
言葉を覚える前に見ていた
無垢な夢は見られない
それを知った時は悲しくて
つらくて苦しくて恨めしくて
手放しに何かを信じる心を
どうにか取り戻したかったけど
もうとっくに手遅れだった
だけど叶わない夢もあるって事に
気付いてからの方が自由で
自分らしく生きやすくなった
なぜかそんな気もしている
諦めは救いでもあった
次の世界を覗く窓でもあった
これは夢を見なくなった大人の
子どもたちには言えない内緒の話